甲斐くんの彼女。2 (ページ10)

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2年になって同じクラスになった俺達。

「..なんでダンス辞めたの?」

甲斐「あ?..別に理由はねぇよ」

「ふーん。」

甲斐「早く日誌書けよ」

「隼人が書かないから私が全部書いてるんでしょ」

柊「諏園」

教室に顔を覗かせた柊。

柊「今日、美術室使うか?」

「日誌書き終わったら向かおうかと思ってますけど..」

柊「そうか。今日はお前しか残る人いないから、鍵よろしくな」

「..先生いないんだ」

柊が帰ったあと、ぽつりとつまらなそうに呟くA。

甲斐「お前さ..柊のこと好きなんだろ、」

ぶわぁっと、耳まで赤くさせた。

「は。何言ってんの..」

甲斐「別に誰かに言ったりしねぇよ」

きゅっと口を結んで、瞳を揺らす。

甲斐「..母親が事故に遭ったんだよ。
俺が稼がなきゃいけない」

「だからやめたの..?」

甲斐「まだちっせぇ妹と弟がいんだよ。
俺しかいねぇんだ」

..何言ってんだ、俺は。

これじゃあまるで

「よし、帰ろっか」

椅子から立ち上がって、肩に鞄をかけたAが俺に向かって言う。

甲斐「書き終わったのか?」

「ぼちぼち。それより早く帰んなきゃ」

甲斐「はぁ?そんなに美術室行きてぇのかよ」

柊がいねぇのに

そう続けると、呆れたようにため息をついた。

「先生がいないなら美術室に行く意味ないの。
だから今日は早く帰る」

甲斐「そうかよ。んじゃ早く帰って寝るんだな」

俺の言葉にまたひとつため息。

「何言ってんの?
隼人の家まで案内して。あ、その前にスーパー寄らなきゃ」

甲斐「は、何言ってんだよ」

「知らないの?私これでも料理は出来る方だから」

伊達に毎朝お弁当作ってませんよ。

なんて誇らしげに言う。

甲斐「同情なんかいらなぇ」

「同情じゃない。心配してんの。
だってあんた料理下手くそじゃん」

この前の家庭科の実習を思い出して、何も言えなくなる。

「それにこれは交渉だよ」

甲斐「はぁ..?」

「私はこの事を誰にも言わない。
勿論石倉にも。」

甲斐「..柊のことか」

「そう。唯月達だけには言わないで。絶対に」