甲斐くんの彼女。2 (ページ6)

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「..ここにいたんだ。」

私の問いかけに振り向かない。

甲斐「あぁ。他に行くとこもないしな」

「..ごめん」

甲斐「何がだよ」

「私の我儘に付き合わせて」

上履きの爪先を見つめながら呟くと、返事がなかった。

甲斐「..お前さ」

数秒後。

顔を上げて隼人を見ると、隼人はまっすぐと私を見つめていた。

きゅっと胸が詰まる。

甲斐「消えちまいそうだったんだよ」

初めて見た時も。

昨日、泣いてる時も。

甲斐「諏訪達と居る時のお前はすっげぇ楽しそうで生き生きしんてのに..急に消えちまいそうになんだよ」

現に私は1度消えたかった。

..何もかもリセットしてしまいたくなった。

甲斐「..1人で抱え込んでんじゃねぇよ」

「..それすっごいブーメランだから」

私の言葉に「言えてる」なんて笑う隼人。

「..どうしようもないくらい惨めなんだよね。
何も出来ない自分が。ずっと、子供のまま止まってる自分が」

私は結局自分が一番カワイイんだ。

自分が傷つくのが怖いから。

里見に逃げるな、なんて言ったのに。

私は直ぐに逃げようとしてしまう。

嫌われることが、拒まれることがこわくて

私は何も相談しなかった。

自分が大切な人以外がどうなっても、別にいい。

..私は、澪奈の時の茅野と一緒で、

見て見ぬふりをしていた。

宇佐美についても。

茅野についても。

甲斐「..だから俺が居るんじゃねぇの。」

「..そうだったね」

私と先生は協力者。

隼人と私は..共有者だ。

お互い、誰にも相談できなかった秘密の。

"彼女"なんか立ち位置じゃない。

あいつは私の秘密を知っていて、

私も隼人の秘密を知っている。

その関係のために、私と隼人は付き合った。

コイビトになったんだ。