甲斐くんの彼女。2

3月4日 22時30分| ページ19

茅野「..はい」


「ごめん..ありがとう」




茅野が濡らしてきてくれたハンカチを、膝の上の先生の額に乗せる。



茅野「..先生..ずっと具合悪かったの..?」



私の様子を伺う茅野の言葉に頷く。




宇佐美「そんな素振りは見せてなかったけど..ねぇ、あんたは気づいてたんでしょ」


宇佐美は隼人に問いかけた。




甲斐「どっちにしろこいつはもうこれで終わりだ」



その言葉に唇を噛む。



また零れそうな涙を止めるように。





小宮山「準備室まだ開かないのかな..」


パソコンを見ている愛華が少し焦っている様子だ。



兵頭や須永達が、ついさっき美術室に向かった。




逢沢「リモコン貸して。下手に触ると爆発するよ」


石倉「うわっ、まじかよ。ちょ、お前持っとけよ」



先生のリモコンを石倉は少し怯えたように逢沢に渡した。




諏訪「..ねぇ、喜志とどういう関係?」


ぽつり、ぽつりだが、唯月の声が聞こえる。




何回か話した後、唯月は冷静を装った態度で椅子に座る。





どこまで



先生は知ってたの?






唯月は関係してるの?





質問したいことはあるのに..答えてくれる先生が目を開けてくれない。





「一颯くん..」


先生の携帯のバイブ音が鳴った。




茅野「..先生の携帯..」


茅野がゆっくりと取ると画面には、"I"と映されている。




河合「出な」


私も聞こえるように、茅野に耳を近づける。




＿＿今、郡司がフェイク動画の件について探ってる。


＿＿これもお前の計画通りか?




茅野「..計画?
あ、切れた」




聞こえた声に、先生への質問がまた増えた。



..なんで五十嵐さんが..



お父さんがなんで..





茅野「計画って何..」


宇佐美「生徒以外にもブッキーの協力者がいるってこと?」




甲斐「..そーいや、内通者ってまだ分かってないよな?」



石倉「そんなことより、携帯だろ、携帯!!
茅野貸せ。この携帯で助けを呼ぶんだよ!!」




「バーン!!」




驚いた石倉が携帯を落としそうになった。



石倉「なんだよ、A!」



「って、なりかねないよ。
先生の携帯なら」




携帯と私を何度も見たあと._石倉はまた怯えたように逢沢に渡す。




熊沢「みんな!!..準備室が開いたよ」




タイミングが良い熊沢の言葉で皆が教室を出ていく。



「..行かないの?」



困った様に笑う茅野。





茅野「完全に乗り遅れた.」

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