story63 ページ24
「まぁ、気にしないでください……殺したいほど憎んでいる男がレフティなだけですから」
その時の安室さんの瞳に、不意に既視感を覚える。
いつだっけ?
あの瞳を見た________いつだ?
その時、現場から運び出される死体が、目の前を通った。
ブルーシートをかけられていたが、明確な凹凸のついたそれは、再び私の思考を奪っていく。
ぐらりと体が傾いた。
「Aさん!!?」
驚いた安室さんが抱きとめてくれた。口の中がとてつもなく気持ち悪い。やばい、吐きそう。
「A?」
怪訝そうに高木刑事が、問いただす。
まずい______七瀬Aが偽名だってバレたら……。
思わず安室さんの服の襟首を掴むと、安室さんが落ち着いた様子で私の手を握り返した。
「ああいや……Aというのは彼女の探偵業の際の偽名なんですよ。私は探偵仲間ですので、いつもはこちらの名前で呼んでるんです」
上手く誤魔化してくれた。
良かった……。
「恩にきる……」
「そんな戦国大名みたいなお礼はいいですから。後でどういうことか聞きますからね」
どういうことって……今あなたが誤魔化してくれた言い訳が全てなんですけど。
「……あっ、う、、」
「Aさん……! 大丈夫ですか!!?」
安室さんの匂いと温もりが近くなった。あー、私今度は安室さんに抱きしめられてるよ。
それにしても頭痛がひどい。吐き気もすごいし、目がチカチカしてきた。
さっきの死体が目の裏にこびりついて、離れてくれない。
私が元の世界で、依頼に従って探しだし、暴力団や犯罪組織に引き渡してきた人たちも、あんな末路を辿ったのかな。
いや、あんなキレイになんて死ねなかったかもしれない。
もっともっと苦しんで……いっそ死んでしまいたいと思うくらいに苦しみに悶えて死んでいったのかも。
これは罰なんだ。
今まで、散々人の道から逸れた生き方をしてきた、私への罰。
だから、ちゃんと見なくちゃ。目をそらさずに、波土の死体を見なくては。
私が殺した人間の、あれは象徴なのだ。
だから……。
「Aさん……」
ふいに体が軽くなって、宙に浮いた。
え?
なに?
「安室さんはお忙しいでしょう。Aさんは私にお任せください」
え? 沖矢さん?
え? 私……沖矢さんに………
だ っ こ さ れ て る !!!!!!!!???
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みそ - 沖矢さんにめっちゃキュンキュンされます…この作品を作って下さって本当にありがとうございます!!9も頑張ってください! (2018年2月12日 0時) (レス) id: f05c3c7162 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 百合さん» ありがとうございます!! 頑張って更新します! (2017年12月13日 7時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
百合 - すごく面白いです(*^-^*)続きが気になります!頑張って下さい!(*´∀`) (2017年12月12日 23時) (レス) id: 664152f9a6 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - ムーンさん» 毎日読んでくださりありがとうございます!! 一位なんて嬉しい!! これからも頑張ります! (2017年12月9日 21時) (レス) id: b25d192faf (このIDを非表示/違反報告)
ムーン(プロフ) - 毎日毎日更新されたのを楽しみにしながら見てます!この作品今のところ私の好きな名探偵コナン夢小説1位です!!これからも続編頑張ってください! (2017年12月9日 20時) (レス) id: 257ddb25d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2017年12月6日 23時