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こんなに近くで男の人の顔を見たのが初めてで、どうすればいいのかまるで分からなくなる。ましてや今の状況を引き起こしているのが自分自身だということに、羞恥と焦りでパニックになった。
このまま投げ飛ばせばいいのだ、と頭の隅では理解していても、体が言うことを聞かないのだ。
実際はほんの数秒のことだったはすだが、わたしには時が止まったかのように思えた。
松田くんの黒い瞳に至近距離で見つめられて、首まで赤くなる。
「おい、おまえ…」
松田くんが何か言いかけたのと、今にも投げ飛ばそうとするわたしの不安定な態勢が崩れたのが同時だった。
ぐらっと体が大きく傾いた。
呆気にとられた顔の松田くんが、体育館の床へ引き寄せられるように倒れ込む。松田くんの胸ぐらを掴んでいたわたしも、当然一緒に崩れ落ちる。
がんっと松田くんの硬い胸板に、思いっきり顔面がぶつかった。
松田くんが低くうめく声が聞こえる。
「ううう……いった…」
「いってぇ……イリゴマぁ、てめえ……」
松田くんの低い声に、はっとして顔を上げる。
松田くんの体が、わたしの下にある。投げ飛ばせたのか、と一瞬馬鹿なことを思ったが、ただ二人して倒れ込み、わたしが松田くんを押し倒すような形になっていたにすぎなかった。
松田くんのくるくる巻いた髪の毛が、耳に触れてくすぐったい。ごつごつした胸の筋肉が、厚い柔道着を隔てたところで、荒っぽい吐息にかすかに上下する。
再び顔がかっと赤くなる。冷や汗が吹き出してきて、わたしはあわあわと口を震わせた。
いつのまにか体育館にいるクラスメイトの視線は、わたしたち二人に集まっていた。
くすくすと笑う声や、困惑気味に囁く小声が聞こえ、その中にぽかんとした顔の諸伏くんや、お腹を抱えて爆笑している萩原くんもいる。
「おい、ゴマ、いつまで俺の上に乗っかってる気だ」
呆然としているわたしに、松田くんが今にも怒鳴り出しそうな声音で低く呟いた。
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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています！続きがくるのを楽しみにして待ってます！ (2020年3月27日 20時) (
レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか？ (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
桜 - そうだったのですか…。安心いたしました！テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません！ (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
桜 - 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか？とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年11月9日 13時
