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わたしが声を出すと、口喧嘩をピタリとやめて、一斉にこちらを見る。四つの黒黒とした瞳に凝視されて、わたしはなんだかいたたまれない気持ちになった。

「なんだよ喋れるじゃん」

 松田といわれたサングラスの男が、ぼそっと呟く。なんとなく馬鹿にしたような物言いにムッとするが、目の前の二人が助けてくれたことは事実なので、強気には出られなかった。

「オバーサンも大丈夫っすか」

 萩原さんが愛想のいい笑みを浮かべて、わたしの背後のおばあさんに話かける。

「わたしは大丈夫だけど……」

 そう言って気遣うようにわたしを見るおばあさんに、わたしは痛む頬をさすりながら、ハハハと笑った。

「大丈夫ですよ、大したケガしてないので」

「え……」

 おばあさんが息をのむ。戸惑った表情を浮かべているおばあさんに、どうしたのだろうと首をかしげていると、萩原さんが無言で携帯の画面をわたしに見せた。

 電源のついていない携帯の画面は真っ黒で、四角い枠の中に色なしの世界が反射してうつっている。
 わたしの顔も当然映っている。
 のぞき込んで、悲鳴をあげた。

「ぎゃあああ、う、うそ! 何よこれ!」

 画面いっぱいにうつるわたしの顔は、本来の大きさの二倍くらいに膨れ上がっていた。それもそのはず、殴られた頬が真っ赤に腫れているせいだ。どうりでひどく痛むわけである。

「病院行った方がいいんじゃない? 女の子だし、後々残ると困るでしょ?」

 萩原さんが気を使ったように言う。

「………なんでこんなことに」

「自分の力量もわきまえずに、妙な正義感発揮したからだろ」

 茫然と携帯の画面を見つめているわたしに、松田さんがまた馬鹿にしたような発言をする。

「ちょっと何なのよ」

 ギリっと睨みつけると、「その顔で睨むな。夢に出できそう」と最低なことを言った。仮にも顔面を殴られて意気消沈している女の子にいう言葉ではない。
 萩原さんもさすがに顔をしかめて、

「やめろよ松田。女の子だぞ」

「うるせえ。今はバイオハザードのゾンビだろ」

「松田!」

「ひどい! サイテー!」

 わたしと萩原さんが同時に怒鳴り、松田さんは鼻を鳴らしてそっぽを向いた。

「ごめんね、許してやって。ちょっと口が悪いけど根は良い奴だからさ」

 ちょっとどころじゃないと思うけど、と心の中で毒づいた。助けてもらって感謝していた気持ちは、もうどこかへ吹き飛んでいた。




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あやちゃん(プロフ) - 海星さん» 面白くて何回も読ませてもらっています!続きがくるのを楽しみにして待ってます! (2020年3月27日 20時) (レス) id: 60d90b2065 (このIDを非表示/違反報告)
- あの、ずっと更新停止されてますが大丈夫ですか? (2020年1月13日 7時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
- そうだったのですか…。安心いたしました!テスト頑張ってください^^ (2019年11月27日 18時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 桜さん» 心配していただいて、ありがとうございます…今テスト中で。更新がゆっくりになってます。すみません! (2019年11月27日 16時) (レス) id: 4bcc115d21 (このIDを非表示/違反報告)
- 最近、更新がありませんが体調など大丈夫でしょうか?とても心配です…… (2019年11月27日 0時) (レス) id: 73a2611a5f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:海星 | 作成日時:2019年11月9日 13時

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