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どれくらい、考えこんでいただろう。
俺は静かに立ち上がると、ランプを消して書斎をあとにした。
確かめることがいくつかあった。
それらの数個でも解決できれば、俺は確実な答えにたどり着けるだろう。この日記が、はた迷惑な気まぐれを起こしたAが書いた、自身の体験に基づく一風変わった小説などでなければだが。
そうだったらどれほどいいだろう。
書斎で長い時間考え込んで、一つだけ浮かんだ推理がある。というか、そう考えるほかに理解できなかったのだ。この不可解な日記が何なのかが。
俺は固定電話の番号をプッシュする。数コールもしないうちに、「は〜い」という若々しい女性の声が聞こえてきた。
「遅かったのね秀ちゃん。そんなに優作が作ったカラクリ棚は難しかった？」
「いえ、ご心配なさらず。手応えはありましたが、無事解けました。それよりいくつかお尋ねしたいことがあるのですが……」
「あら、もちろんよぅ。なんでも聞いて！」
以前明るい声の有希子に、俺は少しだけ微笑んだ。
手元の「日記」に目を落とす。
「Aが小さいころ住んでいた家に、ホームズの絵柄の掛け時計はありましたか？」
「……なんですって？」
唐突な質問に意表を突かれたのか、有希子が少し怪訝そうな声を出す。俺はもう一度同じ質問を繰り返した。
「どうしてそんなことを……急に？」
「否定されないということは、あったんですね？」
有希子が電話口で押し黙る。少しだけ待って、と呟いてから、電話の応対主が変わった。
「やあ、赤井君」
「……工藤先生。ご無沙汰しております」
「いきなりの質問で面食らったよ。確かにホームズの掛け時計なら、ロサンゼルスに暮らしていた時の一軒家に置いてあった。僕が学生時代にロンドンの骨董屋で手に入れたものでね、気に入っていたので有希子と暮らすことになったとき、ロサンゼルスの家に持ってきたんだ」
「しかうち帽子をかぶって、葉巻をくゆらせたホームズ、ですね？」
「ははは。ＦＢＩの情報網とはすごいもんだなあ」
優作の声は本気で感心しているようだ。
しかし電話が有希子からこの小説家に変わった今、彼らをもうごまかすことはできないだろう。本心をいえば、確信のないことで夫妻を心配させるようなことを言いたくはなかったのだが。
「ではまだAが幼い時にホームズに関連するホテルに泊まったことは？」
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
