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結果がわかったら折り返しの電話を頂戴ね、と告げてから、有希子からの電話は切れた。
俺は受話器を元の位置におき、その足で書斎へと向かう。
シャーロックホームズ全集は数十冊にもおよんでおり、目当ての棚はすぐに見当がついた。
うっすら埃の積もった分厚いハードカバーの本が並んでいるなかで、ちょうど棚の真ん中の三冊だけが埃をかぶっていない。
俺は慎重に古びた本を取り出して、棚の奥を覗き込む。あ、と思わず声が漏れた。
棚の奥に、カラクリ箱のような段々になったもう一つの小さな棚が埋め込まれている。俺は頭の中で、あの少し茶目っ気のあるミステリー小説家を思い出して、苦笑した。
おおかた、こんな一昔前の推理小説じみた小細工も、優作が考えたのだろう。
「ここの隠し場所は、父さんとAだけの秘密だからな__________」
そんなことを言って、微笑む親子の姿が浮かんだ。
俺はそっと棚と棚の結合部に触れる。埃はたまっていない。優作は、このカラクリ箱の解き方までは教えてくれなかった。
つまりここからは、己の力で辿り着けというわけだろう。
俺はすっと息を吸い込んで、にやりと笑うとカラクリ箱を引き出しにかかった。
● ● ●
Aさん、Aさん、と呼び掛ければ、かすかにぴくりと反応する。
俺はできるだけ優しい声をつくって、Aの耳元で囁いた。
「……汗かいてるから、服脱がしますね。じっとしていてください」
「ん………」
かすかにひらいた瞼の奥で、とろんとした虚な瞳が俺を見ているような、見ていないような…そんな感じだ。
俺はシャツのボタンをゆっくり外していく。薄いそれを脱がせば、白い肌が見える。あの日、やはり沖矢昴に扮していたのはAだったのだ。男にしては滑らかな裸に、俺は確信する。
「だれ………」
そのとき、唐突にAが口を開いた。
相変わらず虚な目が俺を見つめていて、悩ましげに眉をひそめている。ごくりと喉が鳴った気がした。
俺は慌ててAに微笑みを向ける。
「安室ですよ。ここは僕の家ですから、どうか安心してください」
「あ、むろ………」
俺はズボンのチャックも下ろして、下も脱がせる。前回のように無駄な抵抗がない分、事はあっさり済んだ。
俺は浴室から温めたバスタオルを持ってきて、生まれたときのままの姿のAをそっと包んだ。
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
