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Aを抱き上げると、びっくりするほど汗をかいていた。ぐっしょりと濡れたシャツが気持ち悪いのだろう。俺の腕の中でかすかに眉をひそめるAをそっと後部座席に横たえる。
さて、どうするか。
本当は沖矢にでも連絡しようと思っていたのだが、ベルモットの意味深な発言を聞いた今、それを探りあてるまでは、目の前のこの男を手放したくないという気持ちが醜い欲望のように膨らんでくる。
「とりあえず、面倒だから連絡くらいは入れておくか」
俺はAのズボンのポケットをまさぐって、スマホを取り出すと、Aの手をそっと握ってスマホのロックを解除した。
連絡先に登録されている人間は、驚くほど少なかった。
仕事の関係者と思われる数人、新一、お父さん、お母さん、蘭ちゃん、小五郎のおじさん………
見慣れた名前の羅列の中に、その名前を見つけて俺は知らず知らずのうちに息をとめていた。
光るスマホの画面に、浮き上がる黒い四文字＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿＿。
「赤 井 さ ん」
言いようのない感情に、頭が真っ白になったような気がした。
ぶるぶると唇がみっともないほどに震えて、その四文字から目を離せなかった。
その時の俺を支配していた感情は、赤井の名前を目にした怒りなどではなかった。そんな生易しいものじゃない。
そして、俺は瞬時にその感情が何かを理解できた。
その感情なら、過去に何度となく、俺の場合は決して多くはなかったけれど、人並みには味わったことのあるものだったからだ。
それは、どす黒い嫉妬、だった。
● ● ●
「……遅いな」
無駄に広いホテルのようなリビングで、俺の声が寂しく反響した。
壁にかけられた時計を見る。午後五時半。ライターの仕事があるといって昼前に家を出たAだったが、夕方には帰ると言い残していた。
もうそろそろ帰る頃だと思いながら、夕飯の準備をしていたら、気が付けば日はほとんど暮れかけて、外は薄暗い。
もう何度目になるか分からない、携帯を見る。Aからの着信はない。
遅くなるときは連絡しろとくどいくらいに言い聞かせているおかげで、最近はバイトで遅くなるときも、俺には律儀にメールか電話が入る。
「……また妙なことに巻き込まれてなければいいが」
俺が考え込んでいると、工藤邸の固定電話が静寂をやぶって鳴り響いた。
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海星(プロフ) - カラ松ガールさん» ありがとうございますっ…！ めちゃくちゃ嬉しいです！！ 頑張ります！ (2019年10月31日 7時) (
レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
カラ松ガール(プロフ) - 前回からここまで一気読みしました！神ってました！大好きです！ (2019年10月30日 23時) (レス) id: addc97a0c8 (このIDを非表示/違反報告)
明里香(プロフ) - 74話に誤字がありました。「有紀子」ではなく、「有希子」です。 (2019年10月28日 23時) (携帯から) (レス) id: 85d4df75a2 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 架印�靴気�» わわわ！ ほんとですね！ お恥ずかしい…ご指摘ありがとうございますっ！ (2019年10月26日 10時) (レス) id: 9bd37337b9 (このIDを非表示/違反報告)
架印��(プロフ) - 66話：「このタケシード姿、なかなかいいな」の所…。“タキシード”が“タケシード”になってますよ。 (2019年10月26日 0時) (レス) id: cb6e7377c2 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2019年10月18日 9時
