守ってください赤井さん！！！3【名探偵コナン】

episode104 ページ14

タナベが、なぜ、ミズシマを裏切るような真似をしたのか。


「タナベは、ミズシマを恨んでたの…？ 恋人の三宅雪子を殺されたから……彼だけが、命からがら現場から逃げ切って、そして…」


彼は、復讐を決意した。

自分の最も愛する女性を殺した、ミズシマとリリカに。


「素性を隠してミズシマに取り入って、仲間に入れてもらって……仲間割れをするように仕向けた…？」


「good girl」


赤井さんが私の頭をぽんぽんと叩く。
ばらばらだったパズルのピースが合わさっていく。


「ミズシマの暴力性をうまく利用したのかもしれん。
とにかくタナベは、ミズシマをそそのかして、リリカを殺すよう仕向けた」


そして、リリカは殺された。


「タナベとしては、頃合いを見てミズシマも殺すつもりだったんだろう。
人が近づかないように、また再び噂を流した。リリカが死んだ今、女子高生の霊という事はできない。
苦し紛れに、轢き殺したトラックの運転手の霊などとふざけた作り話をでっち上げた。
…さいわい、二人は脱税の証拠品である美術品を、トラックで運んでいたみたいだしな。


ところが、思わぬ事態が起きた」


誰も寄り付かないと思っていたあの家に、怖いもの知らずで好奇心に目を光らせた、女子高生が二人、現れた。


「タナベとしては内心、焦っただろう。
君たちを巻き込みたくはなかったはずだ。だから隙を見て真純を逃し、助けを呼びに行かせた。

自分はそのまま逃げ出して、ミズシマが逮捕されたというニュースを聞いてから、思い残すことはないと、自死した」


長い長い、物語のようだった。

愛する女性を殺され、復讐を誓った男の悲劇の物語。

しかし、赤井さんの推理には証拠がない。
三宅雪子も、リリカも、そしてタナベもまた死んでしまったのだから。

おそらくミズシマは、時が経てば犯行を認めるだろう。
しかし彼が分かるのは、三宅雪子とリリカを殺したことだけで、タナベのことは何一つ知らないはずだ。

タナベが本当に復讐のためにミズシマたちに近づいたのか。
リリカを殺したのは、ミズシマではなくタナベの意思だったのか。

今となってはもう、分からない。



いつのまにか暮れかかった東都の街並みが、窓の外をゆっくりと流れては消えていく。
行き交う人は、週末に向けて、どこか楽しそうだ。

私はほぅ、と息をついた。

結局、何もわからない。
私たちにできるのは、ここまでなのだから。

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