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「え、えっと……だ、だから…」
「だから？」
ダンッ、と私の顔の横の壁を勢いよく叩く零さん。
ここはマンション。逃げ場はない。
まさかこんなところで、人生初の壁ドンを経験するとは思わなかった。
「お、沖矢さんと……し、シチューを作ってて……」
「恋人の俺を放っておいて、違う男と一緒に料理か。おまけに電話にも出ない。見上げた心がけだな」
「で、電話に出なかったのは、ま、マナモードを切るのを忘れてたからでっ………。
シチューも、零さんに喜んでもらいたかったから……」
「………ふぅん」
零さんは無表情で呟くと、くいっと私の頭を掴んで上に向かせる。
「ひゃっ」
「そんなにシチューの作り方が知りたいなら、俺が手ほどきしてやるよ。これが終わったあとでな」
「こ、これって……」
皆まで言わないうちに、零さんが私の唇に、噛み付くようなキスをした。いつもの優しいキスじゃない。急激に体内の酸素を吸い取られているようで、目の前が真っ白になる。
貪るようなキスが、一層深くなった。零さんの舌が、私の唇を割って中に入ってくる。立っているのだって、やっとのことだ。
苦しい。息ができない。
いやいや、と精一杯の抗議で零さんの背中を叩いたが、零さんにとっては痛くも痒くも無いようだった。
そればかりか、叩けば叩くほど、いっそう深く、激しく吸われてしまう。
思わず涙が流れた。
なんの涙だろう。自分でもよく分からない。
ただの生理的な涙なのか、それとも………
零さんがやっとキスから解放してくれた、と思ったら、次の瞬間、首筋に鋭い痛みが走る。
「いっ……！！？」
噛まれた？
いや、違う。
弱い電流が流れているみたいに、ビリビリと痺れている。
零さんがそこを強く吸った。
びくんと体が跳ねる。
今度こそ、本当にぽろぽろと涙が溢れてきた。
どうして。
どうしてそんなに怒るの。
ただ私は、零さんのために美味しいご飯を作ってあげたい、って……
そう、思ってただけなのに。
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mei(プロフ) - 素敵すぎる…!!!胸キュンしすぎて苦しい状況に陥っています。どうしましょう。 (2022年5月5日 3時) (
レス) @page46 id: b5f626851a (このIDを非表示/違反報告)
やっち(プロフ) - 甘々零さん、ごちそうさまです。私もそんなふうに思われたい! (2022年4月21日 17時) (レス) @page46 id: aabe067d77 (このIDを非表示/違反報告)
belle(プロフ) - この作品を何度読み返したことか…海星さんの書く零さん好きすぎます。また書いていただけませんか？是非読みたいです (2022年4月21日 0時) (レス) @page46 id: a2ba23688b (このIDを非表示/違反報告)
推しが尊いマン(プロフ) - はあああああ番外編最高かよおおおおおおお甘々じゃねえかよおおお最高ありがとうございます (2021年1月11日 15時) (レス) id: ae253cfa81 (このIDを非表示/違反報告)
柘榴(プロフ) - めちゃくちゃキュンキュンして一気に読んでしまいました！景光と零と夢主が夢の中で３人で会話してるの見たいです！更新待ってます！ (2020年3月19日 19時) (レス) id: 2a4d2a700d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：海星
| 作成日時：2018年6月15日 16時
