零と霊編6 ページ32
死んだりなんかしたら、許さないからな。
暗闇で誰かの声が聞こえた瞬間、弾かれたように私は起き上がった。
目の前に広がる白い、白い__________
えっと……ここはどこ?
なんか、体がすごく軽い。
そろそろと辺りを見回した。どうやら病院みたいだ。
コナン君に沖矢さん、高木刑事、そして安室さん。
皆が見つめる先には、たくさんの点滴に繋がれた女の人。
ん?
ここで一旦、私の思考は停止する。
女のひと、女……。
え?
見覚えのある顔だ。
というか見覚えしかない顔だ。
これ、寝てるの、私じゃない……?
え、え、どゆこと!!?
わけわからん!!! だって私はここにいるし、空中でみんなを見下ろしてるし……!!!
ん?
空中?
見下ろしてる?
アレレ?
『はぁ〜、とうとうお嬢ちゃんも霊体になっちまったなあ。まあ霊体つっても、魂が飛び出してるだけで、死んじゃいねえけどな』
隣でプカプカ浮かびながら、苦笑いしているスコッチさん。
トウトウオジョウチャンモ、レイタイニナッチマッタ、ナ?
へ?
そろそろと自分の体を見下ろす。
足が透けて、病室の床が真下にうつっていた。
手を伸ばす。
コナン君の髪の毛をつまむ……つまめない。
うそぉ。まじで。
『な、なんでこんなことに……』
『さっき心臓がとまりかけてたからな。その拍子に魂だけ飛び出しちまったんだろ。まあそのうち戻れるって……たぶん』
『たぶん!!!?』
ため息をついて、病室を見下ろす。
うかない顔をした高木刑事。険しい顔をした沖矢さんと安室さん。コナン君は心配そうな表情を滲ませていた。
そっか。
私、襲われたんだよね。
刺される直前、顔を見た。
ポアロに最近よく顔を出していた、あの大学生の男の子。
まさか彼がストーカーだったなんて。
そういえば、私をちらちら見たり、挙動不審ではあった。
『そういえば、スコッチさんは何してたの!!? 私が刺されてた時! 現れなかったよね!?』
『最近、霊力が衰えてるんだよぉ。なんかもう成仏しそうなんだよね、俺』
『え!!? 何それ!! 本当に?』
あんなにしぶとかったスコッチさんが……ついに成仏とは……
『ってことは、もう、私は元の世界に帰ってもいいんじゃないの?』
その途端、すっと目を細め悲しそうな顔をするスコッチさん。
『……零のことはどうするんだよ』
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時