ジャックザリッパー編22 ページ22
「違います」
「はい?」
私は慎重に言葉を選ぶ。
「あの子……毎日のようにポアロに来てくれて……友達とも楽しそうで……きっとこれから楽しいことがいっぱいあります。一途で優しいから、安室さんへの想いを抱えきれなくなっちゃっただけで。悪い人じゃないと思うんです」
「お姉さん……あんた、カッターナイフで刺されそうになったんだよ? 分かってる?」
コナン君が呆れとも、軽蔑ともとれないような微妙な視線を投げかけてくる。
「分かってるけど……」
「まあ、被害届を出すかどうかは、Aさん次第ですからね。お好きにしてください」
「また襲われて、顔面切り裂かれても知らないけどね」
沖矢さんとコナン君の素っ気ない返事に、とほほとなる私。
「なんでそんなに冷たいの? 二人とも。私、襲われたんだよ?」
もうちょっと優しくしてくれたっていいじゃん、と言うとコナン君が私を睨んだ。
「あのね、お人好し過ぎるんだよ、お姉さんは!! 殺されかけたっていうのにさ!」
「分かってるけどさぁ……」
そんな事を言い合っていたら、ばたばたと廊下を誰かが走って来た。
「あ、走らないでください!」
隣についていた婦警さんが、慌てて叫ぶ。
背の高い、若い男の人。
汗を浮かべ、見るからに焦った様子できょろきょろと辺りを見回していた。
「山本ルミさんなら、今、事情を伺ってますから、ここでお待ちください」
婦警さんはそう告げて、男の人を残して去っていく。
「お兄さん、ルミさんの知り合いなの?」
コナン君がたずねた。
「え……き、君、ルミを知ってるのか!?」
男の人はビックリしたように叫んで、コナン君につめよる。
「うん。僕の知り合いのお姉さんを襲った人でしょ?」
嫌な言い方をするコナン君。
「……それは……そうか…ルミのやつ…バカだな、ほんと」
ぐったりと項垂れる男の人。
優しそうな顔で、なかなか目鼻立ちは整っている。真面目そうな目元が印象的だったが、今はぎゅっと眉を寄せ、悲しそうな顔をしていた。
「あなたは……山本さんの?」
私が尋ねると、男の人は苦笑いした。
「……恋人です。元、ですけど。少し前にフラれちゃって。
あなたがルミに襲われた人ですか? ルミが……申し訳ありません」
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ん - え、え、、突き落とされて刺されそうになったのに許す意味が分からない…周りのみんな甘ちゃん過ぎる… (2022年6月11日 4時) (レス) id: b95582035d (このIDを非表示/違反報告)
さち - すごくおもしろいです。続きが気になって読んじゃいました。よろしくお願いします。 (2019年2月7日 9時) (レス) id: 16ee8f1076 (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - salomeさん» ハマっていただけて、本当に嬉しいです……! 更新頑張れます! ありがとうございます! (2018年5月17日 17時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
salome - いつも見ていますこの小説かなりハマりました更新されるたびに面白く感じたりハラハラドキドキしたり今回夢主がストーカーに刺されて重症になって安室さんも夢主に対して自覚からマジ恋に目覚めて夢主早く意識覚まして安室さんを安心させて欲しい (2018年5月17日 14時) (レス) id: 31aa9c013b (このIDを非表示/違反報告)
海星(プロフ) - 秋都さん» 朝から嬉しくて号泣です……ありがとうございます……! (2018年5月17日 7時) (レス) id: 5a53eb76ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:海星 | 作成日時:2018年5月2日 21時