【銀魂】真選組姐さん 龍と総督と。

66 夢主side ページ19

「コイツァ、ひどいねェ。」


「ああ、一体これで何人目だ？」









多くの隊士が布団に寝込んでしまった部屋の中、トシが総悟に問うた。






「えーと、18人目でさァ。」









今となっては、隊士達の半分以上が寝込むこの場所は、『圧巻』と言う言葉で表しても間違っていないと思う。




「流石にここまでくるとなると、気味が悪いね。」


「冗談じゃねーぞ。天下の真選組が幽霊にやられてみんな寝込んじまっただなんて。」




全くもってトシの言う通りである。


むさい男の集まりであり、税金泥棒とまで言われる真選組の風評がこれ以上荒れることは避けたいというのに。








「もう、恥ずかしいな。情けないったらありゃしないわ。」





思わず手が額の方にのびる。





「Aちゃん、トシ！俺は違うぜ！マヨネーズにやられた‼」









「……余計言えないわ。」


「全くだ。」



ーーー









「みんな、うわ言のように『赤い着物を着た女』、と言っているんですが。

稲山さんが話してた怪談のあれかな？」





「バカヤロー。幽霊なんざいてたまるかよ。」





トシの吐き出した、プカプカと浮かぶ煙を目で追って、お茶を口に含む。



「霊を甘く見たらとんでもないことになるぞ、トシ。この屋敷は呪われてるんだ。


きっととんでもない霊に取り憑かれてるんだよ。」




「なにをバカな…」





「トシの言う通りだ。霊が怖いからって引っ越す訳にはいかねーだろが。

うちにそんな財力はねえし。



どちらにしろ住むんだから、霊に怯えないで堂々と生きねーと。



霊に怯えてばかりじゃ、人だけじゃなくて霊にもバカにされるよ。」




そう言って、『霊がいる』なんていう近藤さんの意見をスパッと切り捨てる。









「…そうだよな。




……いや、ナイナイ」







(え？)







顔を少々青くしたトシの言葉に動きが一瞬止まる。





(いない……よな、霊なんて。)







乾いた喉を潤すために、少し冷めてしまったお茶をゴクリと飲み干した。

67→←65 怪談篇

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す