214.最後の言葉 ページ23
サンジside
カカオ島でAは戦い続けた。
俺がガキの頃に交わした約束を果たす為に。
俺に…俺達に、自分が死んだと悟らせない為に。
「チョッパー！早く治療してくれ！！Aを助けるんだ！！」
「っ…おう！」
ルフィの声に上げたチョッパーの目に光が戻り、ヘビーポイントに姿を変えてAを抱え上げようとする。
「やめとけ無駄だ」
磯撫の無情な温度の無い声が突き刺さる。
「アンタ達の頭首なんでしょ！？なんでそんな事言うのよ！！わからないじゃない…っ！！！」
「そうだよ！なんで、無駄だなんて酷い事言うの！？」
ナミさんがぼろぼろと涙を零しながら、磯撫の胸ぐらにを掴み揺さぶる。キャロットちゃんは俺の隣で崩れ落ち泣いていた。感情のわからない黒い目で見下ろす磯撫を睨みつけるナミさんの肩に、アヤメの前脚がチョイと乗る。
「病や傷は、生命力で治るんだよ。医療はそれを補佐するものだ。今のお嬢は…その生命力そのものが枯渇している。どうにも出来ないんだ。だから、声を聞かせてあげてくれよ。もう…残り僅かなんだ」
ナミさんの手が磯撫の着物から滑り落ち、ヨロヨロと手を床に付いた。
「なんでよ…っ。生きろって言ったじゃない！A！！」
悲痛な…血を吐くようなナミさんの声。
呆然とその姿を見ていると、すくっと立ち上がり俺に歩み寄って肩を掴み強く揺さぶった。
「…っ、しっかりしなさい！サンジ君！アンタの…っ声を聞かせるのよ！！サンジ君の声を一番聞きたいのよAは！！！！」
強く抱き締めた力を緩めて、大粒の涙を零すナミさんの顔からAの穏やかな顔を見た。
好きだという気持ちと離れたくないという気持ちが溢れて泣き叫びたいのに涙も出ねぇ。
「A…A……。なんで…お前の事、俺…っ」
俺の怯えた声に反応したのか、Aの目が薄く開き、一筋の涙がAの瞳から流れていく。
「A！？」
目が開いた事に気付いた仲間達が一斉に駆け寄り、Aを連れ戻そうと何度も何度も近くで名前を呼んだ。
ますます涙は流れ、一筋…また一筋とまだ微かに温かな頬を滑り落ちる。
「そうですよ…！！」
唯一名前を呼ばずに俯き何かを考えていたブルックが顔を上げ、Aの手を強く両手で握った。
それに合わせてAの視線もブルックにゆっくりと動く。
「どうしたんだブルック！？」
「ルフィさん、あるんですよ。助ける方法が！！」
目の前に薄く光が見えた。
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
