194.留守番 ページ3
「カカオ島までは?」
「3時間と少し…!!ちょうど約束の深夜1時に到着予定」
まるでリーダーのように皆んなの前に立っているサンジ君にナミが答える。
床に座るチョッパーが眉間に少しシワを寄せて、サンジ君を見上げた。
「ルフィがカカオ島の "どこ" に "いつ" 出て来るのか見当もつかねェし、危険を知らせる事もできねェな…!!」
「鏡の世界には、もう行けないもんねぇ…」
私も輪の中に戻って、皆んなの会話に混ざる。
混ざったところで妙案は無いけどさ。
「カカオ島を通過する策は、一つだけ考えてある」
その言葉に皆んなの視線がサンジ君に集まった。
状況を話すだけじゃなくて、もう今後の事も話するつもりだったのか。全く、ケーキ作って脱出する為の策も考えてたなんてね。
「俺がカカオ島に行って、ルフィを救い出す。お前らは俺達が戻るまで船を守ってくれ」
「一人で!?ダメだよ!!私も一緒に…!!」
「Aは絶対にダメだ!!」
サンジ君が声を荒らげて私を睨んだ。
その気迫に続けようとしていた言葉は喉で止まる。
「でも…!!」
「付いて来てどうする?力を使うか?」
「それは…っ」
「A、どっちも安全とは言えないけど船の方が力を使わずに済む可能性が高いわ」
だって……私が仲間を呼んでも全滅させられなかった奴等の中に一人で飛び込んで行くって事だ。
俯く私の肩にサンジ君の手が乗って、ゆっくりを顔を上げると自信満々に笑っていた。
「大丈夫だ。ルフィを連れて戻ってくる」
「サンジ君…」
私の肩に手を乗せたまま、サンジ君はナミを見た。
「ナミさん、Aを頼む」
「わかったわ。力を使わないように部屋に押し込んどくから」
一つ頷いたサンジ君は、ナミからまた仲間達に視線を投げ何か話そうとしたけど
その前に静かに話を聞いていたはずのプリンが急に声を荒らげた。
「おい!落ち合う時間ピッタリに着いてどうするつもり!?それよりも早く着いて待たなきゃいけない事もわからないなんて大馬鹿ね!!どう早く着くかも考えてねぇのに、偉そうにカッコつけてんじゃねぇよサンジ!!……さん♡」
3つ目がギラッと見える悪プリン。でも、私と目が合うと何か思い出したように目を少し見開いた。
「だっ…だから…!」
言い淀むプリンが視線を逸らし、ぎゅっとスカートを握り締めた。
「〜〜っ、さっさと乗れよ!!!」
「…ありがとう、プリンちゃん」
声がひっくり返るプリンにサンジ君が柔らかく笑った。
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました! (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです!ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:銀之助 | 作成日時:2018年7月11日 21時