193.ペドロの為に ページ2
「話は後だ、本当に無事でよかった。ペドロとキャロットちゃんはどこに？」
「！！」
空気が一瞬強ばった。
違和感を感じて、ナミを見ると合った視線を逸らしたから違和感はますます募る。
「あの……」
「寝ています！！戦いで疲れて部屋で…二人共！！」
何か言おうとしたナミを遮るようにブルックさんが声を大きくして、そう言った。
サンジ君は「そうか」とだけ言って納得したように頷き、そのままケーキ作りの最中に聞いた話しをし始める。
「Aさん」
「ん？」
ブルックさんが私に耳打ちをしてきた。
話を聞かなくていいのかな？なんて思ったけど、声は深刻そうだったから手招きをしながらサンジ君から離れ、死角になる位置に移動するブルックさんについて行った。
「どうしたの？」
「……見えますか？」
「何が？」
言い淀んだブルックさんが、絞り出すように一言続けた。
「ペドロさん…です」
「ペドロさん？なんで………ぁ…」
苦しそうな顔をするブルックさん、震える声。そして、私に聞いてきた「見えますか？」という問い。全部が頭の中で繋がって涙が零れそうになるのを堪えた。
ここで私が泣いたら…ブルックさんが隠してくれた意味が無い。
「私が…先だと思ってたのに……」
「もし見えても、サンジさんには言わないでください」
「うん、わかってる。…キャロットは大丈夫なんだよね？」
「キャロットさんは、本当に寝ているだけです」
安堵で自然と深く息がもれる。
私を見ていたブルックさんが、また静かに私の名前を呼んだ。
「Aさんは…死なないでくださいね」
「ブルックさん……」
「どうか、私達と無事に脱出して…あの歌を歌ってください。ペドロさんの為に」
それだけ言うとブルックさんは、私の肩にポンと手を置いてから皆んなのところへ戻って行った。
難しい事を言ってくれるよ。ため息を付きながら、その背中を見送る。まだ整理がつかなくて、私は少し離れた場所から話を聞くことにした。
「バレてるの！？ルフィとの落ち合い場所……！？」
「ああ、カカオ島はおそらく待ち伏せの艦隊で包囲されている！！」
ブルックさんは、自然に輪の中へ戻った。
話は終盤になっているみたいだ。
「珍しく強敵認定をされとるようじゃのう。最後にして最大の難関……！！」
「艦隊と戦っても敗北は目に見えてる」
サンジ君の話を聞きながら船の後方を見ると、さっきとは違う艦隊が追ってきている。
その圧迫感に背筋が寒くなった。
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銀之助(プロフ) - 未だにお気に入り登録、お気に入り作者登録、ハートの通知などをたくさんいただき、ありがとうございます。この場を借りてお礼申し上げます。これからも長く楽しんで頂けたら、幸いです。 (2022年9月16日 22時) (
レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - 香さん» コメントありがとうございます。かなりの長編だったのに全部読んでいただき、面白いと思っていただけて嬉しいです。キュンキュンをお届けできて一安心いたしました。 (2022年5月12日 21時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
香 - 本当に好きすぎです…面白かったしキュンキュンしました！ (2022年5月9日 11時) (レス) @page48 id: 64178017ff (このIDを非表示/違反報告)
銀之助(プロフ) - たろ。さん» コメントありがとうございますー。一気読み嬉しいです！ありがとうございます。サンジくんの魅力を損なわず書けていたなら、本当に良かったです。 (2022年4月9日 22時) (レス) id: 9c08df65af (このIDを非表示/違反報告)
たろ。(プロフ) - やばいめっちゃ泣いたし一気読みした…サンジくんたまんねぇなおい。 (2022年4月5日 3時) (レス) @page48 id: ba071d904f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：銀之助
| 作成日時：2018年7月11日 21時
