本命には素直になれない御影くん。【ブルーロック/御影玲王】

♕ ページ22

*



昼休み後から学園の王子様が消えたと校内は大騒ぎ。授業一コマサボって、アイツも姿をくらましてる。


「……なーにしてんだかねぇ」

「ねぇちょっと、美優は知らないの？！レオくんの居場所！」

「知るわけないでしょー。」

「あっでもほら、美優と仲良しのあの娘、Aさんだっけ？もいないんでしょ？……エッ、まさか逢い引き……？」

「…………そーなんじゃないの」

「嘘ー！？あたし結構レオくんのこと好きだったのにぃー！？」

「あいつにゃ勝てないよ、諦めなー」

「……はぁい」


このクラスメイト以外にも、御影くんとアイツが一緒に消えたと騒いでるやつは大勢いる。……帰ってきたら質問責め食らうこと間違いなしだな。

ガタッ。扉が勢いよく開いた。


「A。……と、御影くん。」

「え、マジだったのかよ！？」

「あの2人……え、本当に！？」


ざわざわと教室が煩くなる。そりゃそうだ。冴えないフツーの女子高生が、学園一のイケメンくんと一緒に帰ってきたのだもの。何事だってカンジ。そりゃーそう。


「うるせぇ」


ぴしゃり、と御影くんが言う。直後、半歩後ろに顔を隠していたAの肩を抱きよせて言う。


「俺ら、付き合ったから。以上、よろしく」

「お。」

「え、え！？」

「マジかよ！？」


嘘でしょレオ、なんて嫉妬の声と、マジかよおめでとー、なんて祝福の声とが混じりあう。教室の扉の近くは学年外の野次馬もいて大騒ぎだ。


「……ま、おめでと。」


私がちょっと変なこと言っちゃったのもあるからなー、なんて少しの罪悪感があったから、めでたく付き合うことになったなら祝福したいと思う。……いや別に、私悪くなくないか？Aが自覚してないのが悪い。


「……青春、かー！」


私の春よ、早くこーいっ！



*

♕→←♕

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す