episode 14 ページ15
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友達にラインを返しながら、私は昨夜のことを思い出していた。
二人きりの縁側で、いつの間にか坂田さんの顔がすぐ目の前にあって。
――キス、されるのかと思った……!!
顔が熱くなりスマホを投げそうになったがすんでのところで踏みとどまる。
あの夜、私がキスを考えた直後、坂田さんのスマホが鳴って、彼は電話で何やら話した後、部下に私を家まで送ることを命じた。
そして私は
……けど、よ。
やっぱ関わるべきじゃなかった……!?
今更になって不安になってきた。坂田さん思ったよりやばい人だったし。単に組織のボスじゃなくて裏社会全体のトップとかやばくない。聞いた時は銃とか色々見た後だったからああそうなんだって感じだったけど、普通の日常に戻って考えたら相当やばい。私さっきからやばいしか言ってないな。
でもほんと……いい人なんだよね。
『部下に送らせる。気ぃつけて帰るんやで』
穏やかな空気を纏って微笑んだ坂田さんが、彼の背後に浮かぶ月と相まってすごく――“綺麗”だった。
男の人に綺麗なんて思ったのは、初めてかもしれない。
だとしても、彼は“危険”な人だ。
もう会わない方がいいのかな。そう思うと、少し寂しくなった。
□■□
昼前の賑やかな街を歩き、よく利用するスーパーへ向かう。
「早く行こ!終わっちゃうかも!」
横を走り過ぎていく女の子二人から、テンション高めな言葉が聞こえた。
楽しそうだな。……終わる……数量限定のインスタ映えメニューとか?見た目高校生くらいだったしめっちゃありそう。多分それだ。
程なくして、前方のある一箇所に人の集団が見えた。
イベントでもやっているのだろうか。それにしては静かなため、気になって人混みに視線を向ける。
「――てめえ、俺の女に何してんだ?」
ぴり、と肌を刺すような威圧感に足が止まった。
怒りを露に紡ぎ出されたような低音。けれど声自体は、すごく聞き覚えがあった。
「この俺の女に手を出したんだ。……覚悟はできてんだろうな?」
「……ッ」
「カット!」
空気を変える一声に、ふっと場の緊張が緩んだ。
「うらたくーん、ちょっとやりすぎかな。相手のキャストさんが演技できなくなってたよ」
「あ、ほんとですか?すみませーん」
軽くなったトーンで彼だと確信し、なんとなく興味が湧いた。
人混みの一番後ろにつき、かろうじて見えたうらたさんは、紺色のブレザーの制服を着ていた。
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エス(プロフ) - ノアさん» いやー!!続きが楽しみですね!一生付いてきます!これからと体は気をつけて更新ゆっくりでもいいので頑張ってください!それと続き編ありがとうございます! (2020年8月27日 20時) (レス) id: 3190ad61df (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - ミルクショコラさん» 夏休みですか!最高ですよね!!短いのは残念ですが、是非とも満喫してください^^* (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - エスさん» そう言っていただけて嬉しいです!私もどうなるかわかりません笑 これからもお付き合いくださると嬉しいです! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - 東雲さん» こちらこそありがとうございます!!長らくお待たせ致しました(汗) 続編移行したので是非これからもよろしくお願いします! (2020年8月27日 18時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
ノア(プロフ) - わかさん» 私がきっかけなんですか!?めっちゃ嬉しいですありがとうございます……!これからも頑張ります! (2020年8月27日 17時) (レス) id: 17af415a1e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ノア | 作成日時:2019年9月5日 19時