ラピスラズリ8

・ ページ17

CSに進めなかった屈辱的な去年
そこから巻き返して
今年はファイナルステージ

リーグ戦はギリギリの3位通過

負け越しをしてる広島との戦い

1打席目……本人より私の方が緊張してる


「っ……」

今シーズンは終わった…
みんなが悲しむ中、、
勇人は直ぐにベンチから出てきて
三塁側のジャイアンツファンに挨拶しに行った

シーズンが終わっても野球というものは終わらない
またここで一つ皮を剥いで
来年また生まれ変わる

高橋監督が求めていたものは完全には
叶えられなかったけど
唯一の兆しは

「和真っ！！」

和真:Aさんっ

「ばかっ、最高っ！」

和真:バカって……

「偉いぞ……結果残して」

最後の最後に…100打点に到達する
ホームラン打って

和真:でも……勇人さんに申し訳ないっす

「……なんで？」

勇人:おい、いっちょ前に申し訳ないとか言うな笑

和真:……

勇人:お前が背負うことやない…
来年も頼んだで…4番！

和真:はい


勇人:プレッシャーやろな…4番

「そうだね……」

歩く後ろ姿は自信と不安に揺れていて

勇人:意外と負けず嫌いやからな、あいつも

「ふふ……勇人キャプテンみたい」

勇人:キャプテンなんですけどー？笑

意外と前を向いてて…一安心

「ねー、勇人」

勇人:ん？

「広島焼き食べいこ??」

勇人:せやな……誠也に美味しいとこ聞いたで

「それは行かないと！笑」

勇人:A……

ぐいっと腰をひかれて
抱きしめられる

「…なーに？」

勇人:ありがとな……今シーズンも

「ふふ……どういたしまして」

勇人:なに？笑

「んーん……なんでもない笑」

勇人:なんやねん笑

来年の春にはパパになってるって
考えたらなんか笑けてくる

どんな反応するのかな……。

「んー、美味しい♡♡」

勇人:ご飯食いてー

「さすが、関西人」

勇人:麺入っとるから食わへんのかな？

「どうなんだろ…」

勇人:実家帰った時たこ焼き食べよか

「食べるー！」

勇人:最近食い意地張るよな？笑

「ふふ……お腹減るの」

勇人:えーことやわ、この際5キロくらい太ってや

「5キロはきついよー笑」

勇人:笑



せめて、私の前だけでも弱音を吐いてくれたら
ぶつかってくれたら

そう思うことも多いけど

この屈託のない笑顔の裏に


どれだけの苦労とプレッシャーを抱えてるんだろう



私がしてあげられることは


隣に居ることだけなのかな

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す