痛いのは苦しかった。 ページ8
「私が生まれなきゃあ、露は生きてたかもしれない」
「私がさっさと死んでいれば、アンタはこんなことになってなかったかもしれない」
「私がアンタに町で見つからなければ、私だって、アンタだって今まで通りの生活をしてたのかもしれない」
「私をお母さんの代わりにしたかったんだよね。それなら理解できるの。そこまで私に執着する必要なんてないし」
「けどね、私はA。
ある人に拾われた時から、雨の降ってたあの日から、私は忍者のたまごのA。
みんなとバカやって、やりすぎて先生の大目玉毎回くらってたA。
露の代わりじゃないんだよ」
「...帰りたいなあ」
両目から自然と涙が流れ出る。帰れないとわかっていても、どうしても手放したくなかった。なんて身勝手な奴だ。
生きるのに執着は無い。けれどなぜか泣きたくなっった。悔しくて悲しいんだと思う。涙が止まらない。
受け入れてくれる人はいたのだろうか。もしかしたら、もしかしたら私が誰かに正直に打ち明けていれば、もっと違う結果になっていたのかもしれない。
「...かえれないかな」
これが本心なんだ、と今更になって気づいた。
火はもうそこまで近づいてきている。もう遅い。全てが遅い。気づくのが遅すぎた。
往生際が悪いんだ。決意をしたのは私なのに。
雨が降っていたにもかかわらず火の勢いは増しているように感じる。油やら火薬やら振りまいたから広範囲に火が飛びちっているんだろう。そんなことした元凶は私だけど。
帰りたい。だけど、抱きしめてくれる人なんていない。心配してくれる人もいない。怒ってくれる人も、もう、誰もいない。
だって私はもう学園の人間ではないから。抱きしめてくれる親だってもういないから。
だから、燃え尽きるまで、せめて、私は私らしく。
袖で涙を拭うと袖は涙と血が混ざって滲んでいく。赤が広がっていく。目は強く拭いすぎて、右目の腫れた方が痛い。
動かなくなった男の頭を抱きしめた。まだ息はあるようだ。
言い聞かせるように囁いた。また目を閉じる。
「...これからいくところは極楽じゃない。色々悪さした私もそう。きっと暗くて、怖くて、苦しいところ。
そして、ここよりももっと痛い。けど、けど私が先にくたばったら、
...ケジメはつけるよ。私がアンタに着いていくから______。
...安心してね。待っててあげる」
空気が薄くなっていって、呼吸がどんどんくるしくなってく。
ガラガラと燃えた寺が崩れていく音が聞こえた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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あずきいろ
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おみくじ結果は「末凶」でした！
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苺たると(プロフ) - 涙腺ゆるゆるにして見てました…。こういうネタ大好きなので嬉しいです！更新楽しみにしてます！ (2020年6月29日 21時) (
レス) id: 4ddd192ae6 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - MadHatterさん» ありがとうございます！この小説を楽しみにしていただけたら幸いです！無理をせずゆっくり書いていきたいと思います！ (2018年3月23日 18時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
MadHatter(プロフ) - ボロボロ泣きながら拝読させて頂きました。続き楽しみにしております。無理だけはなさらないでください。 (2018年3月23日 2時) (レス) id: 17134202e7 (このIDを非表示/違反報告)
かまぼこうどん(プロフ) - ざわさん» ありがとうございます。３月以降から本格的に更新を再開したいと思います。今回は生存報告としての今の現状とお話をあげさせて頂きました。引き続き応援よろしくお願いします。 (2018年2月12日 23時) (レス) id: 4829cee081 (このIDを非表示/違反報告)
ざわ(プロフ) - ドキドキしながら一気読みしてしまいました！ この作品大好きです！素敵な小説をありがとうございます。受験はもうラストスパートでしょうか？お勉強頑張ってください！このコメントが届いているかどうかわかりませんが、心から応援しています...! (2018年2月6日 23時) (レス) id: c9576dec0e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：かまぼこうどん | 作成日時：2017年7月3日 22時
