高知駅 ページ14
・
ずっと気づかんフリしてたけど、
ついに現実を突きつけられる。
『次は〜終点の高知駅に停まります』
駅員さんのアナウンス。
一気に地獄に落とされたような気分やったけど
そのアナウンスが聞こえたのと同時に扉が開いてAちゃんが姿を現す。
よかった…と胸を撫で下ろした。
戻ってきてくれてほんま良かった。
複雑を含んだ表情のAちゃんを見て、改めて勇気が出る。
「…ただいま、」
安「…うん、おかえり」
おれは立ち上がって通路に立つ。
Aちゃんはするっと窓側の席へ入り込んで座った。
ほんまやったらおれらの席は逆。
やけど交換したから、当たり前のように相手の席に座る。
そんなんできるほど、Aちゃんとは仲良くなれたつもり。
安「…次終点やな」
「だね…
早かったね」
安「Aちゃんのおかげでめっちゃ楽しく移動できたわ」
「私こそ…
まさかヤスくんが隣なんて思わないから」
安「…Aちゃん降りてからどうするん?」
「私はとりあえず路面電車に乗り換えるかな」
安「おばあちゃん家?」
「そうそう」
安「そっかぁ」
岡山駅から高知駅までの移動間に、
こんな素敵な人に出会って
…恋、してしまうなんて
誰が想像するやろか。
この気持ち、ちゃんと伝えないと。
安「なぁAちゃん」
「ん?」
安「おばあちゃん家行って、ゆっくりしたらさ、
ちょっとおれとも会ってくれたり、する?」
「…え?」
安「Aちゃんとはこれだけで終わらせたくないねん。
高知だけやなくて東京戻っても、また会いたい」
「っ…そんな、だって、ヤスくんは…」
安「アイドルや言うんナシやで?」
「っ…」
安「おれやって普通のそこら辺におる男やから」
安「…気になってる人とまた会いたいって思うし、
これからも仲良くしたいって思うんやで?」
Aちゃんの顔を覗き込んで、そう言う。
みるみるうちにAちゃんの目はまんまるになっていって、
ほっぺが真っ赤になった。
安「ふは、かわえ」
「っ…えっ…?」
安「これからも会おうな?Aちゃん」
「えっ、ヤスくんの気になる人って…えっ…」
_____ プシューーー
列車は終点の高知駅に到着した。
電車はここまでやけど、
おれとAちゃんはここから始まる。
片道158分間だけやなくて、
これからもずっと。
[11:30 高知駅]
・
201人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
樹凛(プロフ) - ふづき♪さん» コメントありがとうございます^^ これからもよろしくお願い致します! (2021年1月31日 0時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
ふづき♪ - 完結おめでとうございます♪ハッピーエンドで終わって良かったです。。。。 (2021年1月30日 14時) (レス) id: 28031762bb (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - みきさん» 初めまして。コメントありがとうございます^^嬉しいお言葉感謝です。これからもぜひよろしくお願い致します! (2021年1月29日 20時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます。少しずつ縮まっていく2人の距離にキュンキュン、ほっこりさせてもらい、日々の更新が楽しみでした!過去作品も少しずつ読ませて頂いてます。今後の作品も楽しみにしています♪ (2021年1月29日 16時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - hinhink1206さん» コメントありがとうございます!四国が大好きで舞台にしてしまいました(笑)そう言っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^ (2021年1月19日 9時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:樹凛 | 作成日時:2021年1月15日 17時