御免駅 ページ13
・
結局恥ずかしくて、肝心なところ曖昧にしてもうたけど…
Aちゃんは勘づいてくれてるやろうか。
おれが好きやってこと。
…ううん、
気づいてもらおうなんか甘えやんな…
分かってるのに、なかなか勇気が出えへん。
多分、ほんまに心の底からAちゃんのことが好きなんやと思う。
こんなに怖気付いたこと今までない。
タイムリミットは迫ってるのに。
「ヤスくんは…彼女いないの…？
…いやっ、アイドルにこんなこと…ダメだよね、ごめん」
Aちゃんは俯きながらそう言うた。
…だから、
だからさ。
安「そんな、アイドルやから言うておれと距離置かんといて…？
おれやってそこらにおる普通の男の人やねんから」
「…うん、ごめん。
でも今の質問は、やっぱり取り消す」
安「なんで？」
「いきなり、失礼かなって」
安「…おれさっきAちゃんにいきなり彼氏おるか聞いたよ」
「そうだけど…」
安「…彼女、おらんで」
「…うん」
安「でも…
気になる人はおるねん」
そう言いながらAちゃんの方を見る。
けど彼女はずっと俯いてて、目を合わせるどころか顔を見ることすらもできひん。
「そう、なんだ」
その切なそうな声に全てを察した。
自分やとは1ミリも思ってないんやなって。
おれ…分かりやすくしてるつもりやのになぁ。
やっぱりちゃんと言葉にせなあかんよな。
「…ヤスくんなら絶対叶うよね、
…かっこいいし、完璧だもんね」
Aちゃんはおれのこと、ただのアイドルやとしてしか見てないんやろうか。
このおれの想い、叶わへん？
「…ごめん、ヤスくん、
ちょっとお手洗い、行ってくるね」
そんなおれの気持ちを知らんAちゃんは、そう言って立ち上がった。
安「うん…」
おれも立ち上がってAちゃんが出れるよう通路に出た。
「っありがとう」
…おれは何してるんや。
扉の中に吸い込まれていくAちゃんの後ろ姿を見ながらため息を吐く。
…空回りしすぎ。
ただAちゃんとまだまだ一緒におりたいだけやのに。
アイドルやなくて、一人の男として意識して欲しいだけやのに。
何をこんな遠回りしてるんやろう。
こんな中途半端で終わらせたくない。
ごめんな、おれが悪かった。
手放したくないあまり、空回りしてもうた。
……ほんまおれアホやわ。
［11:22 御免駅］
・
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 201人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
樹凛(プロフ) - ふづき♪さん» コメントありがとうございます^^ これからもよろしくお願い致します！ (2021年1月31日 0時) (
レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
ふづき♪ - 完結おめでとうございます♪ハッピーエンドで終わって良かったです。。。。 (2021年1月30日 14時) (レス) id: 28031762bb (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - みきさん» 初めまして。コメントありがとうございます^^嬉しいお言葉感謝です。これからもぜひよろしくお願い致します！ (2021年1月29日 20時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます。少しずつ縮まっていく2人の距離にキュンキュン、ほっこりさせてもらい、日々の更新が楽しみでした！過去作品も少しずつ読ませて頂いてます。今後の作品も楽しみにしています♪ (2021年1月29日 16時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - hinhink1206さん» コメントありがとうございます！四国が大好きで舞台にしてしまいました（笑）そう言っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^ (2021年1月19日 9時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：樹凛
| 作成日時：2021年1月15日 17時
