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岡山駅 ページ2






ボストンバックを頭上の荷棚に仕舞い込んでから
女の人の前をお邪魔して窓際のD席に座る。


安「よいしょっ」



彼女の隣に腰掛けた瞬間に、なぜか心がふわっとなった。



…なんやろう、この安心感。
例えるなら沈黙でも気まずくない、昔からの仲良い人とおる感覚。

他にも電車でお隣になって話した人はいっぱいおるけど、こんな感情抱いた人は一人もおらへん。

それにさっき目が合った時、吸い込まれるような、
癒されるような、そんな優しい眼差しに惹きつけられた。

会ってまだ数秒。
おれ自身でさえなんでこんなことを思うのか不思議で仕方がない。




そんなこと考えてたら変に緊張してもうて、
チラッと隣を盗み見る。

見えたのは震える手を必死にさすって抑えようとしてる女の人の姿。


…ほんまにファンの方なんや。
すごい偶然。


安「…あのー」

「っ…はい…!」

安「よかったらお話しませんか?
…そんな緊張せんとってください、」



ニコッと笑いかけると、ちらりとこちらを見てくる彼女。

その視線でまたおれの心臓は大きく鳴る。



「あの…私すっごいファンなんです」

安「ありがとうございますっ
このグッズも関ジャニのやつですよね」

「はい…あの、今本当に信じられなくて」

安「ふは、信じてください、笑」

「声も手も震えちゃって…やばいです」

安「そんなそんな、
僕大した人ちゃいますよ?笑」

「いやいや…私からしたら、もう…」


緊張でどうにかなってまいそうな彼女を
可愛いなぁ
なんて思ってしまう始末。


安「あーちゃんと息してくださいよ?
ほら、吸ってー吐いてー」

「すぅ…はぁ…
…だめ、本当夢みたい」


どこでもお喋りするおれやけど、
考えてみればファンの方とはそういった機会が無かった。

マダムの方やったり、老夫婦、子連れの主婦さんとか。



…だからか。
それでおれちょっと緊張してるんや。
若い子なんてなかなか喋る機会ないもん。

そういうことやんな?自分。


隣の彼女の緊張を解くことに必死になってたら、
アナウンスが流れ始めた。


『6番乗り場から特急南風が発車いたします……』



出発や。







[8:52 岡山駅]







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樹凛(プロフ) - ふづき♪さん» コメントありがとうございます^^ これからもよろしくお願い致します! (2021年1月31日 0時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
ふづき♪ - 完結おめでとうございます♪ハッピーエンドで終わって良かったです。。。。 (2021年1月30日 14時) (レス) id: 28031762bb (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - みきさん» 初めまして。コメントありがとうございます^^嬉しいお言葉感謝です。これからもぜひよろしくお願い致します! (2021年1月29日 20時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)
みき(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます。少しずつ縮まっていく2人の距離にキュンキュン、ほっこりさせてもらい、日々の更新が楽しみでした!過去作品も少しずつ読ませて頂いてます。今後の作品も楽しみにしています♪ (2021年1月29日 16時) (レス) id: c6ee858f5f (このIDを非表示/違反報告)
樹凛(プロフ) - hinhink1206さん» コメントありがとうございます!四国が大好きで舞台にしてしまいました(笑)そう言っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします^^ (2021年1月19日 9時) (レス) id: 1075a57e8f (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:樹凛 | 作成日時:2021年1月15日 17時

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