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次の曲のVTRの間。
私はステージ裏に居た。
｢わ〜凄い！やっぱり似合う！｣
これから披露するあの衣装を身にまとった
私を見て褒めてくれるマネージャーさん。
そんなマネージャーさんを他所目に
私の心は嵐のように風が吹いています。
｢怖いなぁ…笑｣
山下｢あ！A！｣
｢ん、美月ぃ｣
山下｢やっぱりかわいい、似合ってる｣
｢ぎゅーして｣
山下｢おいでっ｣
姉のことになるとどうもセンシティブになってしまう。
そんな所に来てくれた美月。
私の心の中は美月にはお見通しで、
力強く抱きしめてくれて
小刻みに背中を優しく叩いてくれる。
姉が最後に着た大切な衣装を本当に
私が着ていいのか。
姉とは何度も話した。
でも決まって、
｢私が最後に着た衣装、Aしか着れないでしょ？笑
なんか言ってくるやつが居たら言い返してあげるから堂々としなさい｣
って言ってくれた。
｢奈々未にね、言ったの｣
山下｢ぅん？｣
｢着るんだって｣
山下｢うん｣
｢いいよって言ってくれた｣
山下｢奈々未さんだもん、ダメって言わないでしょ？笑｣
｢ファンの人は言うかも｣
山下｢大丈夫、ファンの人だって酷い人ばっかじゃない、寧ろ一部でしょ｣
｢そうかなぁ｣
山下｢私だったら、エモい！ってなる！
しかも橋本姉妹ってめっちゃ人気じゃん。
絶対大丈夫。堂々としてなさい｣
｢ん…｣
曲に入るまでずっと手を握っててくれた美月。
私の震える手はいつも誰かがぎゅっと握ってくれる。
私はメンバーがいないとステージに立てない。
大好きな憧れの人。
実の姉であるけれど、それ以上に憧れの人。
乃木坂46が好きな人ならみんな口を揃えて言う、
＿＿伝説
そんな大切な衣装と大切な歌。
精一杯、受け継ぎます。
橋本奈々未の意志を。
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作者名：ニノン | 作成日時：2021年9月29日 12時
