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「Aちゃんは、いなくならないよね」
涙一つ零さず、真剣な顔で私の目を見る彼は縋っているようにも見える。
「…私の生きる意味は、辰哉さんです」
夜の海、何度二人でここに訪れたか分からない。
あの日から時が止まったままの私は、今の季節さえも分からず生きている。
「…帰ろっか。風邪ひいちゃう」
辰哉さんの言葉で、今は冷える時期なのだと気付く。
手を引っ張って私を立たせると、その手を繋いだまま車まで戻り私を乗せた。
行き先は辰哉さんの家だ。
大学を辞めた私は辰哉さんに拾われ、今は一緒に住んでいる。
辰哉さんのお店で働かせてもらったり、本当に彼がいなければ私は生きていなかったと思う。
どこまでもお世話になりっぱなしだ。
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作者名：バンビ
| 作成日時：2020年11月23日 2時
