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「____もしかしたら君は、僕の知ってる君じゃ無いのかもしれない」
「は?」
ここにきて何言ってんの?
足が数センチ海に沈んだ状態でなお呆気に取られた。
そこで急にそんな疑問持つのおかしくない?
「だから、君に二つの選択肢をあげよう」
「だからの意味が分かりませ、アーーッ!!」
「喋るなって言ってんだろ」
オメーがキレるポイントも分かりません!!!
また沈んで、今度は膝下辺りまで一気に落ちた。
待って待って死ぬ、感覚が分からなくなってる。これ、凍死する寸前じゃない?
あと普通にこの下に、サメとかいない、よね?本当、マジでちょっと、寒い、
「寒い?足の感覚が無くなって身も心も凍る寸前だよね。冬の海、加えてこんな夜中。海岸からかなり離れてて泳いで向かうには至難の技、そして船は一隻も見当たらない。きっと今叫んでも気付いてくれる人間は誰もいない。君が落ちれば僕以外誰も気付かない」
「っ、……っ!!」
「そこで、君に選んでもらおう。一つ、死にたくなければ僕の手を取って。そしてもう二度と、僕から無断で離れようとするなんて馬鹿な真似はしないと誓え」
奥歯がガチガチと音を立てる。
腕を摩る。足が重くなったみたいで動かない。
「二つ。断るなら、そのままゆっくり沈めてあげる」
やけに楽しそうな笑みだった。
人一人の命を弄んでる彼は、彼は___それでも顔は良いんだからどうしようもない。ああ何でこんな時にもクソ、私の脳は確実に破滅へと向かっている。
履いてたブーツは死んだ。次に私も死ぬ。断ればこのままゆっくり沈んで、誰にも気付かれる事なく徐々に死んでいく。
想像するだけで恐ろしい。彼は本気だ。多分、本気で私を殺せるんだ。
「決まった?てかもう決まってるようなもんだよね」
ほらほら、と手を伸ばされた。
寒すぎて視界が定まらない。身体の芯が凍りつきそうで震えが止まらない。
「い、いっこ、お願い、あります」
「ん?何?」
「目、かくし、取って」
ぶるっぶる震えながら言ってみれば、彼はキョトンとしながらも素直に聞いてくれた。
「はい。これで満足?」
…………ええ。ええ。満足ですよ、悟お坊ちゃま。
蒼の瞳は暗闇でも美しく瞬いている。
「カッコいいのに、君って、綺麗な目、ほんと………変にドブみたいな性格だから、友達、一人もいなさそうだよね!!!!」
バーカ!!!心の底から叫んでやるよ、バーーカ!!!!
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sou(プロフ) - はじめまして!!読み始めたばかりなのにもうこんなにも進んでしまいました!!基本的に夢小説でのギャグ系苦手なのですが、こちらすっごく面白くて!!これからも最終章行ってきます! (2022年2月11日 16時) (レス) @page50 id: 26a665cc7a (このIDを非表示/違反報告)
巫礜 - 2章完結おめでとうございます!!とても面白くて一気に読んでしまいましたー!3章も楽しみに待ってます!無理せず頑張ってください!応援してます!! (2020年11月29日 23時) (レス) id: af56b806d8 (このIDを非表示/違反報告)
き(プロフ) - 完結おめでとうございます!今回も楽しく読ませて頂きました!展開に置いてかれる悠仁がちょっと面白かったですw3章も楽しみにしてそれこそ犬のように待ってます!! (2020年11月29日 13時) (レス) id: c55596aced (このIDを非表示/違反報告)
呉羽(プロフ) - 2章完結おめでとうございます!いつも通知が来るたびワクワクしながら開かせてもらってます。これからも応援してます!では、お体に気を付けて。 (2020年11月29日 12時) (レス) id: cfabc7c0e0 (このIDを非表示/違反報告)
レミリア(プロフ) - 第2章の完結おめでとうございます。いつもはぁはぁ息を荒くしながら見させて頂いております(キモい)第3章も楽しみです! (2020年11月29日 10時) (レス) id: 0a87aae102 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2020年11月23日 1時