「マァマァ遠慮しないで」 ページ5
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部屋の電灯がつき、光が差し込んだ。思わず目を手で遮るように翳す。
のっそりのっそり歩いて来ていた巨人がまっすぐイスに座る私の方へと歩いて来て、そのまま倒れ込んだ。
「重え」
「あったかい」
当たり前のように抱き締めるな。
とにかく長い腕に巻き込まれないように奴との身体の間に腕を挟んでガードしていたら不満そうな目と至近距離で目が合った。
「せっかく一番乗りしたのに」
「ゴメンその辺の仕組み分かってないから頑張って走って来たんだねナマケモノのくせにとしか思えん」
「違うよ、単純な早い者勝ちじゃないってコレ」
「重いから退け。話ならそっちのイス座れ」
「えっヤバAさんにおっ*いがある」
「お*ぱいの話は後だオラァ!!!」
巨体を無理やり荷物のように持ち上げる。
「うわスゴ」と素っ頓狂な声を上げる凪をドスンとイスに下ろした。
「やっぱ力持ちだね」
「あの」
「ん?」
「飲み物、何飲む」
凪の顔を見ながらボソリ。凪の目がまんまるになった。
「え、いらない」
「マァマァ遠慮しないで、色々あるから(知らんけど)」
そう言いながら部屋の隅っこにあった小ちゃい冷蔵庫に手をかけガチャリと開ける。
「ごめん……茶しかない……」
「いらないってば」
「客……もてなす……私……メイド……」
「とにかく座って。お話ししよ」
言われた通りに座る。とりあえずペットボトルの茶があったのでそれは出しておいた。
「えっと、凪。何か悩みでもあん、あります?」
「無いけど」
「私昔ブヨブヨに太ったネコ飼ってたんだけど」
「無理やり話のタネ撒こうとしなくて良いから」
碇ゲ*ドウポーズをしながら話をしようとしたらぶった斬られた。だってお前、悩み無いなら何で来た?
「俺はアンタに言いたい事があったから来た」
いつもの気怠そうな眼差しが少し怒ってるように見える。
何だろうな、とどこか他人事のように考えながら口を開いた。
「何?」
「何で簡単に「辞める」とか言えんの。てか本気?」
「辞めるとは言ってないよ」
「言ってたじゃん。アンタが電流でお仕置きされる前に」
「あのさ……その映像ってさ……やっぱみんな見た感じ?」
「見てねえ奴の方が少ないんじゃない?てかそんなんどーでも良いから」
デッカい溜め息を吐き出した。やっぱりみんな知った上でくるんだな。
こういう質問がめちゃんこくるって事なんだな。
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シナモン - とても面白かったです‼士道最高でした‼ (11月23日 10時) (レス) @page36 id: 8b3e9c667d (このIDを非表示/違反報告)
華(プロフ) - いつまでも応援してます (10月28日 18時) (レス) id: 76125fe83b (このIDを非表示/違反報告)
あ(プロフ) - 面白かったです!!すごく!文才を感じました! 是非また更新してくださると嬉しいです!! 応援してます! (7月27日 1時) (レス) @page36 id: c33439ae2b (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴(プロフ) - もしかして更新終了してしまいましたか…? (6月23日 23時) (レス) @page36 id: fcd2bda98b (このIDを非表示/違反報告)
ペペのん - え……お…終わり!?でも、この作品とっても面白かったです!! (6月23日 18時) (レス) @page36 id: 97854132f4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Nny。 | 作者ホームページ:
作成日時:2023年3月23日 0時