顔だしNGの陽だまりさん【歌い手】【男主】

尊敬2 ページ19

裏口でスタッフさんにゲスパを見せるとすぐに通してくれた。

そして今は一般席から機材で分けられた向こう側、関係者席に居る。
いくら機材で隔てて居ようが同じ空間に居るのでcrewさん達のそわそわやうきうきが伝わってくる。

そしてアナウンスが流れるとコールが始まる。
暫くして会場が暗くなりコールは更に熱を帯び声も大きくなる。
そして液晶で導入が流れ出すとそれを合図にコールは止む。


スポットライトを浴びてキラキラと輝きながら出てきた彼らは本当に同じ人間なのかと疑いたくなるほどかっこよかった。


同じ空間に居るのにまるで液晶を隔てて居るような感覚に陥る。
もしも俺がライブをしてもあんなに輝けるだろうか。

そこからの数時間はステージに立つ彼らに目も心も奪われて気が付いたら一般のお客さん達はもう帰ってしまったようだった。

浮き足立つような感覚にぼぉっとしていた俺の事を流石に変だと思ったのか棗が話しかけてくる。

｢Aー！ぽおっとしとるけど大丈夫？｣

『え？あぁ、大丈夫だよ。何か凄かったなーって思っただけだから。』

そう言葉を返すと棗はふむふむと言いながら言葉を発した。

｢確かに浦島坂田船は凄いもんなー。でもあーきゅんも凄いと思うけどなあ？｣

『あ！外でその名前出さないで！もう、バレちゃったらどうするの？それに俺ライブはしないよ。』

ぷうっと頬を膨らましながら言うと頭を撫でながらごめんごめんと謝ってきた。

別にそこまで怒ってないけどね。


そんなお話をしながら俺たちは帰路に着いた。

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