JK-3 ページ26
『私も店の二代目として人脈増やしたいのもあったし、あと売り上げに直結するのは目に見えてたから、やらない手はないなーと。でも本職じゃないから、まあ試験的に?一回限りの契約でOKしたんですよ』
「けっこう肉食系なんですね、ヌナ」
『美味しいものがぶら下がってて、食べない理由、ありますか?』
「ないね」
『だよね。ジョングクさん、ほんとそんな感じです』
ふ、と柔らかく笑う顔。
嫌味な俺に、大人な対応。
すごく、優しい対応。
ユンギヒョンの弟に対する、ヌナみたいな、対応。
ほんと、悔しいけど、この人。
悪い人じゃない。
ちょっと話しただけなのに、わかるくらい、優しくて誠実でいい人だ。
ユンギヒョンの気持ちをもてあそんだり、無視したり、何も考えずに捨てるような、そんな人じゃない。
「…俺、ユンギヒョンは、あなたのこと諦めてないと思うけど」
唐突すぎたと思うけど、俺はポツリと、言葉を落としてしまった。
この言葉を言いたくてここまで来た。
でも俺が用意していたものは、もっと傷付ける気満々の、ぶん殴る代わりに言葉で泣かしてやるくらいのひどい言葉だったんだけど。
そんな言葉を言って良い人じゃなかった。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年12月3日 8時