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もうほぼほぼ、警戒心は溶けていたけど、俺は念のため彼女のミニショルダーを開いて、ポケットに入っているものを調べてみた。
「カードキーがありましたよ、やっぱりここに泊まってるスタッフですよ」
SJ「何を人のカバン勝手に漁ってるのぉ!怖い子!」
ガサゴソしてると、ジンヒョンが常識を訴えてくる。
いやいや、ヒョン。
そう言うのは、TPOをわきまえてしてほしい。
今は自己防衛のためなんだから、
遠慮してる場合じゃないんだよって。
あ、財布も発見…
「身分証は無いですね…免許証とかも…無い。あれ?カードキーは二枚あるな…予備?」
ぱっと見、危険物は見当たらなかった。
「うん、カメラも、ナイフも危険物も無いですよ!ヒョン!サセンの可能性は低いですよ!良かったですね!」
ニコっと笑って親指を立てると、ジンヒョンは
SJ「ほんと!良かった!」
と手をグーにして両腿の横に付けて、ペンギンのようなポーズで首を傾げて眉をぎゅっとよせてニコッと変な笑顔をしてくるので、笑ってしまった。
ヒョン、めちゃかわいい。
SJ「って、ちがうでしょ!お前手慣れてない?なんでそんなサクサク色々探せるの?」
みると、ジンヒョンは俺が荷物を漁ったのが本気で嫌なのか耳が赤くなっている。
『…すみません…』
不意に落ちてきた、俺でもジンヒョンの声でもない、
低く、かすれたノイズの多い声。
聞こえるはずのない、幽霊の声かと思った。
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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時