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俺は、もう藁にもすがる思いだったから。

セジンヒョンとジンヒョンにあんなに釘を刺されたけど、俺はこっそりアリンヌナを捕まえて、Aのことをきいたんだ。



Aの件があってからアリンヌナは俺たちの専属から外されて、TXTの方に移動になっていた。

これは、まず絶対にセジンヒョンが手を回していたんだと思う。

それでわざわざTXTの楽屋に行って、アリンヌナを呼んで、ちょっと話ができないか、って言ったんだ。

ヌナは俺を弟のように可愛がってくれていたから、何の用なのかわからない様子だったけど、久しぶりに会えたことを喜んでくれた。

AR「それで、話って何かな」

自然に切り出してくれたヌナに、俺は




「ヌナあの…イ・Aさんって、友達ですか?」





て、我ながら、どストレートだったと思う。


セジンヒョンだったらもっと上手く言葉を選べたのかもしれないけど、俺にはこの聞き方しかできなかった。

アリンヌナは一瞬目を丸くして、それからスッと表情を消した。

俺の質問には答えずに、首を傾げるような仕草で、何かを考えた後、


AR「…多分、ジョングクの質問には、何も答えない方が良い気がする」


と言った。




…頭のいい人、嫌いじゃないよ。


でも今だけ。



まじ勘弁して欲しい。





そんな一瞬で、

何もかも理解しないで欲しい。





AR「ごめんね、ほんと」






アリンヌナはそう言って何も答えてくれなかった。

それから、翌週には寿退社してしまったって聞いた。







そうして、俺は完全にAの存在を見失った。

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作者名:フネ55 | 作成日時:2022年11月28日 0時

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