解せぬ小説家 ページ25
さぁ進もう、と道の先を確認して
ひゅ、と体が冷えるのが分かる。
左右にいくつもドアがある廊下の先は、
行き止まりだった。
橙「…どうする……
どっかの部屋に入る…しかない？」
黄「や…でも、部屋で追い詰められたら
今度こそ本当に逃げ場がなくなる」
どうする、どうする＿＿
早く決断しなければ、と立ち往生をしていると
二つ先のドアがキィ、と開いた。
中から現れたのは＿＿＿
黄「重岡さん……！」
声をかけると、俺たちの姿を見て
目を見開いて驚く。
どうやら生きている人が
他にいるとは思っていなかったようだ。
赤「…はは、お屋敷の噂、
ほんまやったみたいですねぇ。
めちゃめちゃ作品の参考になりますわ」
黄「重岡さん、無事でよかった…！
ここは危険やから、別のとこに移動しましょう」
まくしたてるようにそう言うと、
数拍置いたのちに「あぁ、」と
納得したように声をあげた。
赤「僕が入ってきた部屋、
玄関付近の通路と繋がってまして。
そっから抜けたら２階に続く階段があって、
奥の部屋に唯一窓がありましたよ」
黄「え……？」
「それなら早く行きましょう」と言うと、
彼は首を横に振った。
赤「僕はいいです」
黄「なんで…っ」
赤「なんでって…こんな楽しい非日常、
すぐに終わっちゃうなんて
つまらないやないですか」
さも当たり前かのようにそう言う彼の頬には
えくぼが力なく浮かんでいるが、目が笑っていない。
黄「……殺されちゃいますよ」
赤「それも面白い展開ですよね」
橙「＿＿淳太くん、もう行こう」
そうだ、重岡さんは噂の実現を望んで
この屋敷に来たんだ。
なにより、彼はこの状況を楽しんでいる。
そこに神山さんと同じ不気味さを感じた。
小瀧さんも何も言わなかった。
この切羽詰まった状況で、
重岡さんを説得する余裕はない。
俺たちは、彼を置いて先に進むことを決めた。
「また会えたらいいですね」という
重岡さんの声に振り返ることなく、
２階へと向かった。
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豆乳もち(プロフ) - 最近『シビュラ』という曲にハマったんですけど、歌詞がどこかで見たことあるな〜って思ったら2年前くらいに読んだこの作品でした。曲を聴く前と聴いた後で読むのではまた違った面白さがありました！情景や発言に歌詞が散りばめられていて感動しました！ (7月9日 16時) (
レス) id: c565488b09 (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - 緑翠 @かぁさん» ありがとうございます〜〜！！どの言葉も嬉しすぎます書いて良かったです^ ^ただグロいだけじゃなくて神山さんのある種神聖な綺麗さは丁寧に書こう...！と思っていたのでドンピシャで読み取ってくださりとっても興奮していますありがとうございます！！ (2021年3月1日 11時) (レス) id: 15f3f2738e (このIDを非表示/違反報告)
緑翠 @かぁ(プロフ) - すっっっっっごい面白かったです…！！まるで一本の映画を見終わった時みたいな…。残酷ですがとても儚いような…これから赤色さんはどうするのか…とか色々気になってしまいます。素敵な作品を読ませて頂き、ありがとうございました。 (2021年2月26日 23時) (レス) id: 57d00871fa (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - 麗さん» ありがとうございます〜！藤井さんと�霤弔気鵑砲録修渓�なさしかありませんがそう言っていただけて嬉しいです！(笑) (2021年2月18日 16時) (レス) id: 026a6b186c (このIDを非表示/違反報告)
梅子(プロフ) - ひかるさん» こちらこそ読んでいただきありがとうございます！わああ凄く嬉しいですこれからも頑張ります（ ; ; ）！！ (2021年2月18日 16時) (レス) id: 026a6b186c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：梅子
| 作成日時：2020年11月25日 18時
