【銀魂】浅き夢見じ酔ひもせず【高杉晋助】

面倒事 ページ5

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「――――地球を出る期日が、早まった」



――高杉さんが私にそう告げたのは、ある日私が彼の部屋でお酌をしていたときのこと。

･･驚く程綺麗な満月の光が窓から差し込んでいて、･･･落ち着いた月夜の、はずだったんだけれど。




「･･･―――早、まる･･？」



････その言葉によって、お酒を注ぐ手が少し揺れてしまった。


「･･申し訳ございません」


机の上にこぼれてしまった透明な液体を謝罪混じりに拭く。･･そういえばアルコールの匂いにも煙管の煙の匂いにもいつの間にか慣れていたな、などどうでもいいことは置いておき。


「･･･それはまた、･･何故でしょう」


聞けば、彼は面倒臭そうに眉を寄せた。




「･･問題があったんだとよ」


「････問題？」


「――なんでも、裏切り者が逃げ出したとか」




春雨の者の手引きでな、と。


(･･･裏切り者が、逃げ出す･･。)


――それも、何者かの手引きで。･･･つまり。




「･･裏切り者を手伝った新たな裏切り者が、いるということですね」




神妙に言うと、高杉さんは如何にもという風に頷いた。


(･･それにしても、ややこしい。)


裏切り者もなにも、春雨に忠誠を誓うものなんて探すほうが難しい。･･その中で春雨を裏切った者。

･･････そしての裏切り者の側についた、者。――話が複雑だ。


「･･大変ですね、探そうとする者は」


それを担当するであろう春雨のどこかの師団へ同情混じりに言うも、高杉さんはうざったそうに煙を吐き出し。




「――――その面倒事が鬼兵隊に回された」




――これまた、不本意そうにお酒を呷ったのだった。

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