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黒「れ、連絡先……教えて貰えませんか…?」
俺は確かに紡に似ているAさんが気になっている。これが恋なのかどうなのかは解らない。いや、多分違うだろうな。俺は今でも紡が好きだと神に誓って言える。
研磨に言われた【キッカケ】。紡に似たAさんを気になっている自分の心に従うかのように俺はAさんにそう言った。
『……ごめんね、そういうのは出来ないの』
困った顔で俺の目を真っ直ぐ見てAさんはそう言った。その瞳に吸い込まれそうになる。
あ「……黒尾さん、Aさんは人気モデルなのよ?連絡先なんて教えて貰える訳無いじゃない」
灰「えっ!?俺知ってるよ!」
孤「…リエーフは枠組みが違うんでしょ…」
そりゃあ、そうだよな…あかねちゃんの言う通りだ…俺はただの男子高校生で、Aさんは芸能事務所に所属している有名で人気なモデル。連絡先なんて教えて貰える訳無いなんて少し考えれば解る事だ。俺は一体何やって…
研「また逃げるの?」
俺の隣に居た研磨は俺だけにしか聞こえない声でそう言った。「また逃げるの?」それは兵庫に行く事が紡の幸せだと思い込んで何もしなかった事に対しての事か?あの時、俺らに何が出来たって言うん
研「言っておくけど、おれにとってクロも紡も大事な幼馴染みだからね。クロが紡の幸せを願ってる様に、おれもクロと紡の幸せを願ってるんだよ」
俺の幸せ…そんなの、俺にとっては紡と結ばれる事以外に思い付かない。だけど目の前の紡に似ているAさんが気になっているのも事実。ただ、紡に似ているから。ただ、それだけだけどそれは【キッカケ】だと研磨は言ってくれた。
研磨、お前は何を考えてんだ?
黒「じゃっ、じゃあ勝手に渡すので気が向いたらっ」
俺は紙に自分の連絡先を書いてAさんに差し出した。困らせるのは解ってる。捨てられてしまうかもしれない。でも俺はこの人の事が知りたくて仕方なかった。今のままじゃきっと心に気持ち悪い残り方をするだけだ。
『…解った。ありがとね』
俺の手から紙が抜かれた。Aさんは未だ困った顔をしているが微笑みながら紙を受け取る。その顔に不覚にもドキリと胸を高鳴らせてしまう。
俺は紡が好きだ。
たとえ、紡に好きな奴が出来たとしても。
だけど、目の前に居る紡に似ているAさんに心拍を上昇させているのも確かだ。
俺は、紡を忘れる【キッカケ】が欲しかったのか?と自問する。
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作者名:櫂 | 作成日時:2025年11月17日 5時


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