百九十四話 ページ46
Aside
只、走った。
漸く穴が見えた。ここだ。
騒いでいる声が聞こえる。
治崎が個性を使って、兄さんと戦っていた。兄さんは壊理ちゃんを取り戻そうとしている。
助けたい。
そう、思っていた。
母さんとかそんなの関係なく、信じられないようなことかもしれないけれど確かに助けたいと思った。
神様、いるんでしょう？
ねぇ、あたしを愛してくれなくていいから今だけあたしにもう一度全力で戦う力をください。お願い。
何も要らないから。
今、戦えるだけの、時間を稼げるだけのそれだけの強さを。
個性を使ってワープをした。
治崎が逃げようとする。
兄さんが追いかける。
そんな行程が見えた。兄さんは必死だった。
壊理ちゃんは先輩のマントを掴んでいた。
ああ、やっぱり兄さんは凄いな。
あの子を助けちゃったよ。
グッと抱き締めて話さないようにしている。頼むからずっとそのままでいて。
時間を作る。
出来るだけ。
もう、残ってはいないカスのようなものだけれど無いよりは多分マシ。
治崎の前にいく。
兄さんの足に触れその周囲の空気を圧縮していく。穴は治崎が開けているから問題は無いだろう。
緑「行け！！
デク！離さないでよ！！」
出「うん！
分かってるよ！思いっきり、飛ばして！！」
その瞬間、初めてあたしたちは兄妹のような意思疏通を果たした。
初めて、だった。
その瞬間、確かにあたしたちは分かり合えていた。極、普通の兄妹として。
当たり前で、当たり障りの無い。そんな兄妹として。
兄さんを飛ばした。
思いっきり、空高く。
その瞬間、兄さんも個性を使ったんだろう。穴から出ても遥か上にいた。
まだ、しっかり壊理ちゃんのことは抱いているようだった。心底、ホッとする。
約束をどうやら果たすことが出来そうだ。
兄さんはそのまま避難してしまえばいいもう。いっそそうしてしまえ。
時間を稼げて数分の体力だった。
それでも、その間に少しでも離れられるのであれば無駄ではないだろう。
なるべく、遠くに行ってくれよ。
壊理ちゃん、どうか無事で。
兄さん、後は頼んだよ。
あたしは治崎に向き合った。
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ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
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