百九十二話 ページ44
Aside
溶けた足が痛む。
先程、銃弾の一つが先輩の体内に入った。恐らく、撃ち込まれたんだろう。
完成品の方だ。
先輩は無個性になった。
あたしのせいだ。
あたしが拐われたりなんかしなければ。あたしがこんな個性だから。
ごめんなさい。
先輩、ごめんなさい。
先輩の未来を壊してしまった。
明るい、ヒーローになれるだろう眩しい未来を壊してしまった。
あたしがいなければよかった。
そうであれば先輩は個性を失わずにすんだ。夢を失わずに。
ヒーローになれたんだ。
あたしなんかよりもよっぽど、サーの求めることに応えられていて、よっぽど、ヒーローに向いている人。
動けない自分を恨んだ。
足がないと満足に行動できない。
邪魔になるだけだ。
そんなことは分かっていた。
でも、例えそうであってもいかないといけないと自然とそう思っていた。
個性はもう、上手く発動しない。
怪我の方に回しているからだ。
もう一度全力で戦闘すれば間違いなくキャパオーバー。更に邪魔になる。
この個性で壊すことが出来るのなら治すことも可能だろうか。まさか、治崎はそれが嫌でこちらに入れようとしている？
それなら分かる気がするかもしれない。
あいつらはこちらに入れよと言われている筈なのに全力で攻撃してきた。ずっと地味に引っ掛かっていたんだ。おかしいって。
やっぱり、行かないと。
そうだとするなら殺られ無かったあたしは治崎にとって最も邪魔だ。
もしかしたら先輩の個性を戻されるかもしれないんだから。消すべき対象だ。
そうしたら、その内に壊理ちゃんを逃がせるかもしれない。僅かでも、時間を稼ぐことが出来るかもしれない。
向こうに行ったら、先輩に謝らないと。あたしのせいで個性を失ってしまった。
沢山、謝らないと。
謝ってすまない。
まだ、あたしは治せないんだから。
治せるようになればいいけれど。
それでも、もしものことが先輩にあれば償いきれない。
個性を壊してしまったこと事態、償いきれるような物でもないけれど。
先生、大丈夫なのかな。
サーは？
肝心なときに役に立てなくて、要らないとこでばっか浪費しちゃって。本当に、役に立たない個性。
大切な人くらい、ちゃんと守れるようになりたい。
やっぱり、もっと強くなりたい。
今まででは母さんのために強くなった。
でも、どこか違う気がしてきた。
虚しくて堪らない。
何のために強く在るのか。
答えが掴めそうでわからなかった。
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ミナミ(プロフ) - 今井 明希さん» ありがとうございます！続編もこれからもよろしくお願いいたします！ (2020年2月12日 22時) (
レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
今井 明希(プロフ) - 面白いです！最新がんばってください！ (2020年2月12日 0時) (レス) id: d714c1a6ae (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 読んでくださってありがとうございます！背景ちょっといつも考えていたので気づいてもらえて嬉しかったです！これからも頑張るので宜しくお願いします！ (2020年1月29日 22時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
メガネザル - 面白くて一気に読んじゃいました！ 更新頑張ってください！応援しています(*´▽｀*) (2020年1月28日 22時) (レス) id: 7074a2782f (このIDを非表示/違反報告)
みけねこ - 続編応援してます！これからも頑張ってください。毎回、後ろの背景?が変わって何かワクワクしてます(語彙力がない) (2020年1月28日 21時) (レス) id: 717af831f6 (このIDを非表示/違反報告)
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