八十八話 ページ40
Aside
ガスを消すための手段。
それは、この場にあるガスを全て吸い込むこと。吸ってあたしの中に入れておけば害はない。
あたしの体内であればずっと保持していられる。まぁ、結構な賭けになる。
あたしが助からないかもしれない。
でも、他の人を救わないと。あたしよりも価値のある人は沢山いる。
あたしなんかいなくたって大丈夫だろう。他の人には帰るべき家が、家族がいる。
死なせるわけにはいかない。
大きく、息を吸った。
ガスが体内に入り始めていく。ゆっくりとガスは薄れていく。
頭が痛くなってきた。手が震える。足が竦みそうだ。
身体中が痺れるように痛い。
上手く体内で操って脳には回らないように、一ヶ所になるべく小さく溜め込むように。
長くは持たないかもしれない。
でも、どこかで出しても大丈夫な場所で出せば問題は無いだろう。なるべく速く。
なるべく、迅速に。
出来るだけ、多くの命を救えるように。ガスはまだある。でも、確実に減ってきている。
大丈夫だ。
この調子ならきっと、他の人も逃がすことが出きる。ガスが薄れれば少なくとも此方に向かって人が来る。
敵だろうけれど。
敵が来たらガスを吸わせてしまえばいい。ガスさえ消えれば大分楽になるはずだ。
敵は恐らく、ここまでは想定していないだろう。想定していたとしても、新たにガスの個性を持つやつがいるとは考えにくい。
となると、やはり一番この手段がいい。
他の皆は大丈夫だろうか。
置いてきた兄さんは大丈夫だろうか。気配を読んだ感じ、大分戻ってきているようだった。只、兄さんたちはまだでかっちゃんを連れている。
そうなると、かっちゃんも狙われているのか。でないとあんな風に歩かないもの。
かっちゃんを守るように動かない。
敵もそんなに間抜けじゃない。目的を遂行するためなら何でもするようなやつらだ。
ガスは殆ど無くなった。
体は痛くて動けそうもない。
でも、ここで放出する訳にはいかないし、頑張らないと。今ここに誰かいないのが救いだ。
うっかり放出したときが大変なことになることは容易に想像がつく。
また、あたしは歩きだした。
軋む体。
痛む頭。
震える腕。
倒れるわけにはいかない。
まだだ。
否……どうせ死んでも……誰も気付かないか。
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すぐる - 50話の「応用が利く」のところが「応用が聞く」になっています。細かくてすいません🥳 (2023年1月12日 0時) (
レス) @page2 id: a8ac25d13a (このIDを非表示/違反報告)
羽鶴,,, - この作品のおかげでサーを推しはじめた (2022年12月27日 1時) (レス) @page4 id: e85af83036 (このIDを非表示/違反報告)
真昼 - 轟の成長みたいな感じですか？ 母が言っていたセリフも似ていますよね！ (2022年7月28日 20時) (レス) @page20 id: 279e5ec09b (このIDを非表示/違反報告)
たむたむ - ミリオの個性は通過じゃなくて透過だよ (2021年10月11日 22時) (レス) @page2 id: 124affbb66 (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - 脱線脱出tomorrow さん» ありがとうございます！これからもよろしくお願いいたします (2019年12月11日 4時) (レス) id: 4b9f084e7b (このIDを非表示/違反報告)
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