六十話。 ページ11
Aside
あれから三日経って、後藤の話によればあの女は取りあえず行方不明。捜索中だとか。
私は部屋にこもって寝るかボーッとするか。どうすればいいのかもわからないから。
どうやって皆と話せばいいのかも、どうすれば許すことができるのかも分からない。
辛くてたまらなくて、逃げてしまいたい。だけれど、そんな体力などどこにもなくて結局はここにとどまっている。
皆は合間を縫ってここに来てくれていた。後藤は私に毎回、部屋にいれるかを聞いてきて、私は無理だと答える。
部屋にはいるのはいつも、玄弥くんやカナヲちゃんにそのお友達くらい。
本当にどうすればいいのかわからないんだもの。話し方もわからないし、それにもう仲良くなんてなれない。元のようには戻れない。
元のようって、元がちょっとわかんないけど。
「…A、胡蝶さんが来たぞ。
いれるか?
話をしたくないなら、別に断ってくれてもかまわないと言っているけど…。」
それは、気紛れだった。思い出したいと思っていた。幸せな頃を。こんな記憶を思い出して最悪だったけれど、仲が一番良かった人の話を聞けば思い出すかもしれない。
私が悪いのもわかっているし、もしかしたら歩み寄れたりするのかもしれない。
窓からその人が来るのを見たとき、仕草がとても悲しそうで、後悔しているようでその人が今にも泣きそうだったのを見たからなのかな。私は目がいいから、そう言うのを見抜けた。
記憶はまだ、足りない。
どうしても無理になったら、出ていって貰う。少なくとも無理強いするような人には見えなかった。
何せ私は、友達だと言うことしかその人のことを知らなかった。
だから、気まぐれに部屋に入るのを許した。
「いいよ。入っても。」
驚いたような気配がして、それからすぐに泣きそうな顔の人が入ってきた。はた目には泣きそうには見えないと思うけど。
それでも泣かないように必死にこらえているような顔でまるで笑顔を顔に張り付けたよう。
名前も覚えているのにどんな人かは分からない。傷つけられた気はする。無視されたりとか。それでも、なんにも分かんないんだけど。
「部屋にいれてくださって、ありがとうございます。」
何を言えばいいのかわからなくて言葉を返せなかった。だって、どこか違うと言うか、違和感が否めなかったんだもの。
そして、少し黙っていると花のような匂いが鼻孔を掠めた。
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モブ好きだわ - あ、名前変えてしまいました!言うの忘れててすみません! (2021年4月29日 18時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
モブ好きだわ - ミナミさん» そうなんですか! 教えてくださってありがとうございました!だからかぁ…ホェー他の読者さまは有難いですねぇ…でも良かったです!作者様がそのコメントが気になって作品書くのを止めなくて! (2021年4月29日 18時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
ミナミ(プロフ) - ダークファンタジーマジおもろさん» 読んでくださりありがとうございます!1の方ではですね、少し厄介な方があらわれまして…ストーリーについて言われたりだとか、他の読者の方が止めてくださったんですけど止まらなくて。トラブルの元となるために消させていただきした。返信遅れてすみません。 (2021年3月24日 18時) (レス) id: f5a254d1c8 (このIDを非表示/違反報告)
ダークファンタジーマジおもろ - あと何で1のコメント欄削除したんですか?ピエン 理由教えて欲しいです汗 (2021年3月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
ダークファンタジーマジおもろ - 完結してよかったです!!!最後はハッピーエンドでよかったです!!!私今3DSで見てるので文字数があまりわからないのでここら辺で終わらしときます!!!今までありがとうございました!!! (2021年3月21日 20時) (レス) id: 94bc23990d (このIDを非表示/違反報告)
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