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父の声 ページ11

『役立たず!』
父の声が頭から離れてくれないんだ。


私の父は、研究者だ。

昔から、生物についての研究をしていた。
だけど、父の研究は中々進まなかった。

「何でだ!周りは皆成果を出している!
 なぜ、私だけ取り残されなければならない!」

人一倍プライドの高い父は、日に日に焦りを抱えていった。

「貴方、大丈夫よ!」

「だが!これではなにもかもが!」

母が、慰めに入るがそれも虚しく、父は怒り狂う。

それを見かねた母は、部屋の隅でうずくまっていた私に掴みかかると言った。


「お前!他の研究者の研究成果を盗んでこい!
 そうしたら、白いご飯くらいはあげてやる!」

かなり気が滅入っていたのだろう。
普通は幼い私がそんなことできるとは思わないはずだ。


「わかった。盗んでくる。」

常に自分の学びのために本を盗んでいたので、盗むという行為に抵抗はなかった。

それに、ここまで焦っている母を見たのも初めてだった。
もし、私が研究成果を盗んでくれば、私は認めてもらえるんじゃないか。

そんな考えも、脳裏をよぎっていた。



盗み出すのは、簡単だった。

研究成果を持っていくと、その研究はかなりの大発見だったらしく、父も母も喜んでいた。

「お母様…、」

「うるさいね!この研究成果を発表したらあちこちから取材が入る!
 キレイにしなくてはいけないんだよ!」
そう言って、私を殴った。

結局、私が認められることはなかったのだ。

だが、話はここでは終わらなかった。
研究成果を盗まれた研究者が、『それは私のものだろう?今返したら、全てなかったことにしよう。』と言って来たのだ。

父は返すはずもなく、私にその研究者を殺すように命令した。




「ぐわぁ!」
研究者の断末魔が部屋に響いた。

返り血を浴びてしまったが、上出来だ。

私は死体を隠蔽して、父にそのことを報告した。



「ああ、そうか。」

特に何も言われることはなかったが、その言葉は今までで一番優しく感じたんだ。




ーーーー


いつの間にか、豪華になっていった家。

もう、昔の面影などない。


中からは、楽しそうな笑い声が聞こえる。

あの中に、私が入っていったらきっと楽しそうな空気が壊れて仕舞うんだろうな。

母と、父と、妹が、私を見て言うんだ。

「「「また帰って来たのか、化物め」」」


悔しいなぁ…

何であとからやって来た妹が、父と母の隣にいるんだろうか。


ねぇ、誰か教えてよ。


私は、家の扉を開け、中へと入った。

実の妹→←少女を追って



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作品ジャンル:アニメ
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絵理奈(プロフ) - 明菜が夢主に罪を負わせますね、刀キャーとか嫌がらせされたとか身体が痣だらけだとか。 (2020年2月3日 18時) (レス) id: e2382ac4cf (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - 和美さん» ありがとうございます。めちゃくちゃ元気でました!!更新頑張ります! (2020年1月8日 21時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
和美(プロフ) - 最高の作品ありがとうございます!夢主ちゃんが早く幸せになって欲しい…大好きです!(((殴 更新頑張ってください! (2020年1月8日 11時) (レス) id: 02d0844636 (このIDを非表示/違反報告)
ちーかま(プロフ) - www(アメーババババ)さん» わぁ!ありがとうございます!更新頑張ります( ー`дー´)キリッ! (2019年12月1日 19時) (レス) id: b10489591d (このIDを非表示/違反報告)
www(アメーババババ)(プロフ) - 好きです!(唐突)更新頑張ってください!! (2019年12月1日 17時) (レス) id: 9fbd33347e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ちーかま | 作成日時:2019年12月1日 5時

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