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カルテ18 ページ19

「はぁ…効果見られないな…。」

Aの脳波はいつも通りだ。

「どうしたらいいんだこの病気…俺に治せるのか…?」

こんな病気見たの初めてだった。

治す薬もないし…。

そう悩んでいたその時。

ガラッ

扉が開く音がした。

Aか。

「おかえり、どう____。」

は?

「こんにちは、緋純先生。久しぶり?」

…。

立花 香月。

久しぶり?

「俺と会うのは初めてだろ?」

すると香月くんはくすくすと笑った。

あまり気にくわないな…。

「え、覚えてないの?3年前だよ、先生が精神科にいたとき。」

いろいろと矛盾があるように思えた。

彼は“最近”虐待を受けて“最近”入院した。

俺が精神科にいたのは確かに3年前だけだったけど…。

同じ科の患者は自分の担当じゃなくても情報、まぁいわゆるカルテは回ってくる。

立花 香月はいなかったはず…。

「だめだね、今の医者は名前ばっかに囚われて。僕の顔をよく見てよ?」

顔…?

彼の奥行きのない目を見つめる。

写真で見たときより一層リアルでぞっとする。

かつてと目は違うけど…。

…まさか。

「君は…河内 麗央くん…?」

「はははっ。…正解。」

なら、なぜ…?

「名前が変わっているの、気になってるんだろ?」

…図星。

「緋純先生には教えてあげる。僕はね、組んでるんだよ。」

組んでる?

「僕の担当医とね。あなたは知らないはずだよ、桑原 龍騎先生のこと。」

確かに…知らない名前だった。

彼は“立花 香月”くんの担当医だったと思う。

「僕は確かに虐待を受けた、両親にね。それは確かだよ。だけど考えてみてよ、先生。“その両親が2組目の両親だったら”?」

…!!

「僕と桑原先生…いや“龍騎さん”は昔から知り合いだったの、僕の本当の父親が友達でね。」

「お前の目的はなんだ…!!」

「ねぇ待って待って、落ち着けよ。まぁいいや、目的とか経緯とかは順を追って説明するよ。それより何か気づかない?」

…気づかないと思うか。

「Aはどうした。」

「どうしたと思う?」

俺は無視して立ち上がり、病室を出た。

「あーあ…いっちゃったよ。これからどうするかな、僕も、緋純先生も。」

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作品ジャンル:ミステリー, オリジナル作品
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円香(プロフ) - くまの助さん» 読んでいただきありがとうございます! ジャンル、そうですね…アドバイスありがとうございます。 (2018年8月21日 7時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
くまの助(プロフ) - 気がつけば読み終えていました。ジャンルがファンタジーよりミステリーかな?という印象です (2018年8月20日 21時) (レス) id: 20308b11a1 (このIDを非表示/違反報告)
円香(プロフ) - 吐露@菊秦芳は露を吐くさん» ありがとうございます!病院シリーズは初めてなのでよくわからなかったのですが…そう言ってもらえて少し安心しました(笑) (2018年6月9日 20時) (レス) id: d1740a14bb (このIDを非表示/違反報告)
吐露@菊秦芳は露を吐く(プロフ) - なんだかお話の設定やら病院の雰囲気やらがしっかりしていて読みやすかったです!続きを楽しみにしていますね! (2018年6月9日 20時) (レス) id: 07eaa6a5bc (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:円香 | 作成日時:2018年4月23日 17時

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