夢と遊ぶ、幻を覚える【オリジナル】

カルテ14 ページ15

「まぁ、こんなもんか。」

結果は正直よく分からなかった。

まぁいい。

1週間あるから、ゆっくりしていても大丈夫だ。

ふぅ…。

今日はとりあえず終わり。

院長に報告に行かなきゃ。



「お疲れ様でした。Aさんの様子はいかがでしたか？」

「…あまりいい夢は見なかったようです。ただ、そこにいるかのようだった、と言っていました。効果はあるのではないでしょうか。」

院長は眼鏡を上げて俺の方を見た。

「続けましょう。1週間経過観察です。なるべく別の時間帯にやってください。」

俺はだいたいのスケジュールをさっと作った。

…明日は昼からだな。

「わかりました。それでは失礼します。」

「待ってください。」

…？

なんだ？

「精神科に最近入院した子がいるようなので紹介しますね。」

おかしいな、と思った。

いつもはそんなことしないんだけどな…。

院長は笑顔で写真を見せてきた。

少年は微笑んで写真に映っている。

…ぞっとした。

彼の目は奥がなく、暗かったからだ。

こんな目、初めて見た。

表情は穏やか、一見好印象だろうけど…。

俺が精神科医でもあるから気づいたのか…？

俺は医師になって最初の1年はスクールカウンセラーとして派遣されていた。

それが召還され、今に至る。

「彼の名前は…？」

「立花 香月君です。」

そして、核心をつく質問をする。

「なぜ脳外科の私にそれを…？」

院長はいつもの笑顔のまま答えた。

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