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「東京、京都共に人的被害は甚大です。が、幸いにも一般人の被害報告は上がっていません。呪詛師、夏油により襲撃された東京校の生徒も現在高専内で療養中であり…―」
「捕獲した夏油の共犯者への尋問は…―」
「夏油傑が所有していた多数の呪霊の管理の件ですが…―」
「捜索中の夏油傑の遺体を…―」
先日の事件の被害報告をするため、
負傷していない術師は数名東京校へ派遣された。
それぞれが持ち寄った情報は綺麗に整理され、
呪詛師、夏油傑が行った百鬼夜行がいかに残虐、非道であったかが露わになっていった。
ここに居る誰もが彼を恨み、
彼の死に胸をなでおろす。
『…。』
ホワイトボードに貼られた、
まだ呪術師だった頃の写真。
大きな手の感触。熱。声。
息をするように嘘を吐く口。
決して忘れることのできない何もかもが、
時間が経つごとに押し寄せてくる。
「遅刻だぞ、悟。」
「………。」
ただ俯いて、滞りなく進んでいく会議の終わりを待っていると、
終了間近になってゆっくりとドアが開いた。
現われた彼は、咎める声など少しも耳に入れず席に座る。
「あとはお前の報告だけだ。」
「…報告?もうしたでしょ。僕が傑を殺した。」
「遺体は?」
「知らないよ。」
あからさまに不穏な呪術師達の視線も意に介さず、
淡々と投げかけられる質問に答えていく悟さん。
大きな溜息を吐いた夜蛾学長が場を鎮め、
消化しきらない怒りを抱えたまま会議は終わりに向かっていった。
「今日のところはここまでにする。次回の召集は追って連絡する。他に何もなければ解散に、…………なんだ?」
解散の合図が流れかけたその時。
私の隣に座る、同じく京都から派遣された術師の一人が手を挙げる。
全員の視線が集まる中、
彼女の指先がゆっくりと私の方を指した。
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「杠Aは、夏油傑の共犯者の可能性があります。」

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ウミナミ(プロフ) - 展開や丁寧な文法に魅入ってしまいました…!好きです! (2月24日 11時) (レス) id: 20cf3f5f40 (このIDを非表示/違反報告)
ぬ(プロフ) - 更新楽しみにしています! (2月2日 4時) (レス) id: bfa0e31481 (このIDを非表示/違反報告)
レネット(プロフ) - 好きです… (1月17日 16時) (レス) id: ec8ec8961f (このIDを非表示/違反報告)
酒井 - 更新楽しみにしてます! (1月14日 17時) (レス) id: a5077b13d9 (このIDを非表示/違反報告)
ほし - 新作もめちゃくちゃ好きです。無理なさらず頑張ってください! (1月13日 22時) (レス) id: 6dcdb3b145 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:縞 | 作成日時:2021年1月13日 20時