07 『泣きっ面に』 ページ7
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志津はいつの間にか震え声になっていた。言葉に時折嗚咽が混じる。
「ずっとお金を受け取って来たけど……、お金を渡されると、あの子を思い出すからって」
「────」
「本当は、許せなかったらしい」
俺は息を呑んだ。確かに──そりゃ、そうだ。我が子がどう考えても悪かったとはいえ、轢いた奴を簡単に許せる訳がない。
志津の指の隙間から、涙がシーツを濡らす。
「けど、今までありがとうって……、お金は一切使ってなくて、今度返すから、会いに来て下さいって──言われた」
「……よ、かった、な」
ありきたりな言葉だった。『良かったな』なんて誰にでも言える言葉で、しかもこんなシーンで言うべき言葉じゃなかったかもしれない。でも俺には志津になんて声をかければいいかわからなかったし、それは本心だったから、そう言った。
志津はぎゅっと猫背になって、溢れてくる涙を何度も手の甲で拭う。もらい泣きというヤツで、俺の涙腺にも攻撃が来た。
「許されなくて良いんだと思ってた、許されるべきじゃないんだと思ってた」
そんな訳がない、と喉から出そうになる声を必死にとどめる。許されちゃいけない人間がコイツだなんて──そんなことはありえない。
「けど、僕は……！ 僕は、僕は、」
「おう、……おう」
「あの人達に、許されたい……！！」
きっと、世界一、勇気のいる告白だった。その言葉に、俺は固まった。──そんな本心は、俺は、一切知らなかった。親友の気持ちを、俺は、知らなかった。
何処かで思っていたんだ。コイツはきっと、誰にも許されなくても、強く生きてくんだろうって。思っていたんだ。
そんな訳が──なかった。
「ありがとうって言われて、凄く、嬉しくて、僕は……！ 許されて良いんだろうか、許されたいと思ってしまって、そんなことを思ってしまって──」
「──良いに決まってんだろ！？」
俺は気づけば叫んでいた。椅子を倒して立ち上がった俺の言葉に、顔を隠すようにして泣いていた志津が顔を上げる。不細工な泣き面だ。
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P様さん - え…、久しぶりにオリジナル作品開いたらめちゃくちゃいいじゃん！！好き！！！なんか最後の店主かっこいいな (2022年12月6日 23時) (
レス) @page11 id: 44cbacd699 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - さくらんぼさん» オリジナルは良いぞ！！(二次創作ばかり書いている人間が言って良いセリフではない)覚えてます大丈夫です〜〜！文ストの方全く更新できずに申し訳ありません、恐らく本編更新より十五歳編の方を作るのが早いと思われます(笑)。 (2021年2月24日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
さくらんぼ(プロフ) - オリジナル作品こんなにのめり込んだの始めてすぎるほんと！！笑笑 一瞬ホントの話かと思うくらいリアリティが、、、！！あ、長い間浮上しなくてすいません！機種変して名前変えましたが白夜の世界を推し続けるです！！覚えてますかね、、？笑 (2021年2月24日 0時) (レス) id: 6f4309b5f2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - めぐちさん» どうぞどうぞ是非ぜひ！占ツクって最初から連載が想定されてる、みたいな仕様になってるから短編を投下しにくいんですよね。でもまあサックリ読める方が読者も良いだろと思って短編たくさん投下してます(笑)。 (2020年12月29日 10時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
めぐち(プロフ) - うわーー！！めちゃくちゃ面白すぎてあっという間に読んでしまいました……。しばらく余韻が抜けないです。素敵な作品ですね泣。私もオリジナル作りたくなります笑 (2020年12月28日 22時) (レス) id: 0507494f21 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年11月28日 17時
