友人 ページ9
◇
日が落ちる前に少しだけでも剣を振っておこうと、俺がいつも通り庭に立てば、小芭内とAが近くで見ている。
「小芭内も鬼殺隊に入るの?」
「鬼殺隊…?」
Aが小芭内にそう聞いたのが聞こえ、俺は思わず剣を振る手が止まってしまう。
「鬼と戦う人達のことだよ
鬼から人を守ったり、鬼を倒したり」
「…」
小芭内はそう説明するAを見つめたあと、俺に視線を移す。
「…Aは入らないのか?」
「入らないよ。鬼は普通に怖いし、
他人のために命をかけるなんてできない。」
そう目を細めるAは、15になれば鬼殺隊に入ることになっている俺に悪いと思ったのか、ごめんねと謝って、少し笑う。
鬼が怖い。
自分が一番可愛いものだ。
いつもそう言って自分を卑下する癖に、Aは鬼との共存を夢見ている。
数ヶ月前の話だが、その話を聞いた時、俺は柄にもなく、Aと喧嘩してしまった。
数々の者が鬼に食われ、愛するものを失ってきたというのに、なぜそんなことが言えるのか。
鬼は醜い、巨悪であると、そう強く主張する俺に対して、Aは珍しく冷静を欠いた声で反論してきたのだ。
『鬼も人間だったんだよ』
・
「そうだ!
小芭内も杏寿郎と一緒に振ってみなよ!」
俺がそんな過去のことを思い返していると、Aの元気な声で急に現実に引き戻される。
またまた突拍子もないことを言うAは、ブンブンと下手くそに刀を振る動作をして、ほらあそこの使っていいからなんて、父上の物を使うよう勝手に勧めていた。
◇
「A、今日もうちに泊まっていかれますか?」
「はい!もちろんです!」
この頃、Aは次の日に学校が休みだと、必ずうちに泊まるようになっており、Aの母上も煉獄家ならと許容しているらしい。
「杏寿郎と小芭内、先に入っておいでよ」
私は瑠火さんと千寿郎と入るから!と、随分母上を気に入っているらしいAは、家に来ると瑠火さん瑠火さんと、俺よりも母上に興味があるようだった。
・
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時