※初夜 ページ28
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「…っもう、駄目」
相変わらず体力のないAは、そう言って俺から距離をとり、仰向けになって倒れる。
しかし、これでは生殺し。
「っ杏寿郎、」
ぐっと我慢してAから離れようとしたが、そう熱っぽい声で名前を呼ぶAに、ブツンと何かが切れる音がして、俺は布団の端に寄るAに覆い被さった。
「…本当に嫌なら直ぐに行ってくれ。すぐ辞める」
今にも襲い掛かりそうな勢いで、自分でも何を言っているんだと思ったが、そんな俺を察したように、Aは恐る恐る俺の唇にちょこんと触れる。
「む。」
なんとも可愛らしいその仕草に、胸がドクンと痛くなっていると、Aは蕩けた顔で俺を見る。
「キスだけでも凄く気持ちがいいのに
これ以上あなたに触れられると、
おかしくなってしまう」
「…そういう所だぞ」
そんな煽りのようにしか聞こえない言葉を最後に、もう一度Aの唇を塞げば、また愛らしい声を口から零す。
しかし、その晩、順調に見えたまぐわいは思わぬ展開を見せる。
途端に涙をポロポロと零すAに、お互いほぼ裸のまま中断されるという、まさかの終わりを告げた。
そして俺は、昼間、あれだけ偉そうに幸せにすると誓った癖に、早速Aを泣かせてしまった事を悔やみ続けた。
◇◇
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時