相談 ページ23
◇◇
「よー煉獄!久しぶりだな!」
「うむ、宇髄か!」
任務帰り、まだ暗い道を早足で歩いていると、この街一体を警備している宇髄に遭遇する。
「お前もう甲になったんだって?」
「あぁ!後は十二鬼月を倒すのみ!」
柱まで残り少し、気合を入れて任務に当たると、いつも通り話せば、宇髄は豪快に笑い声をあげる。
「で、最近Aとはどーなんだ?」
「…なぜ、君がAのことを気にする」
少し睨みつけながらそう言い返せば、宇髄は手をヒラヒラと動かし、笑いながら俺を指さす。
「お前、Aのこと好きなんだろ?」
「は?」
驚く程当たり前のように、俺の心を言い当てる宇髄に驚き、なぜ分かったのかと宇髄を凝視していれば、分かんねぇ奴なんてAのくらいだと馬鹿にしたように笑う。
「で?もう付き合ってんの?」
「残念だが、君の想像しているような関係ではない!
想いを伝えるつもりも無いしな!」
「へー、なんで」
人の色恋が好きなのか、楽しそうに肩を組んでくる宇髄は、不思議そうに俺の顔を覗き込む。
「鬼殺隊である以上、
彼女と最後まで添い遂げられる保証はない」
それに、彼女には好いている男がいる。
まだこれは俺の予想の話だが…と宇髄に顔を向けると、驚くほど静かな声応えが返ってきた。
「あ?何言ってんだお前」
本当に好きなら、そんなこと考えてんじゃねぇと、少し怒ったように話す宇髄は、Aに好きな男がいることに関しては特に触れてこない。
「…彼女には俺より相応しい男がいる」
「じゃあ俺立候補するわ」
宇髄は俺を捲したてるために言っている訳では無いようで、ギラついた目がこの男の本気加減を物語っている。
「宇髄、君も鬼殺隊である以上
一般人を巻き込むべきではないだろう」
「ふーん?じゃあ、あそこの角の家の地主の男は?
長男はまだ若いし、何より金持ちだろ」
「あそこの家の男は駄目だ。
金ばかりに執着し、力は軟弱だ」
それに昔、Aに執拗くちょっかいをかけていたから、全くもって良い印象は無い。
「なら、隣町の工場の社長の息子なんかは?
体もでかいし、力もあるじゃん」
「あれ程度では、Aを守ることはできない」
せめて、俺より強い男でなければ。
そう同じような会話を何度か繰り返すと、宇髄は大きな溜め息をわざとらしく着いた。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時