再会 ページ15
◇◇
明治44年
階級が柱であるという宇髄と合流し、一先ず街の警備に当たろうと、俺たちは夜道を歩いていた。
「たっ助けてください!!」
角を曲がってすぐ、ゼェハァと青ざめた顔で、俺たちに駆け寄る少女が3人。
彼女たちは袴を着ており、ここら辺の田舎では見ないくらい高貴な女学生であることが分かる。
「友達が!!化け物に!!」
こんなに取り乱した状態でも、しっかりと意識を保とうとする彼女らは、指で遠くの方角を指す。
「もう安心だ。
君たちはどこか明るい場所に避難していろ」
肩を持ってそう優しく話しかければ、3人は力強く頷く。
「…随分強い鬼の気配だな」
気配が霧のように散らばっているため、場所が定まらないでいる俺に対して、辺りの被害状況でも見てきたのか、戻ってきた宇髄がそう話す。
突然濃くなった気配に、俺たちは合図もなしに同時に走り出すと、すぐに鬼を発見する。
「ククッ、他の奴らはお前を囮にして逃げたんだ」
自分の倍はありそうな程大きな鬼と対峙している女子は、先程の少女たちと同じく、綺麗な制服を着ている。
「…あなたは、鬼になる前はどんな人だったの?」
人間の頃の記憶は残ってるのかな。
俺が鬼との距離を詰める間、今にも食われそうだというのに悲しそうに笑みを浮かべて、彼女は鬼に話しかける。
「大切な兄弟や家族がいたかもしれないし
恋人もいたかもしれないわね」
命乞いをする訳でもなく、泣き叫ぶ訳でもない。
そんな静かすぎる彼女が逆鱗に触れたのか、鬼は勢いよく彼女に手を伸ばした。
「炎の呼吸 弍の型 昇り炎天」
◇
「もう大丈夫だ」
そう言って彼女に近づくと、月明かりで照らされた艶やかな黒髪に、妙に懐かしい感覚を覚える。
「…ありがとうございます。煉獄様」
「は、」
ふっと顔を上げて俺にそう微笑むのは、中等教育で寄宿舎に送られて以来、数年ぶりに再会するAだった。
まさか、こんな所で再会できるとは思っておらず、俺は心臓が激しく鼓動し始める。
「お前、ド派手に綺麗な顔だな」
そう言って会話に入り込む宇髄を牽制しながら、俺は本当に綺麗になったAを凝視する。
「ふふっそれ、褒めていますか?」
そう笑うAは、昔も人形のように可愛らしくあったが、今ではすっかり幼さが消えて、大人の美しさを身にまとっていた。
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作者名:西川あや x他1人 | 作成日時:2020年10月31日 13時