【短編集】ほしのかけら

ひと夏の恋模様 ページ41

「んー。まず蒼汰は単語を覚えようよ」

「いや、やってんだけどな」

と、俺は頭をかく。
蒼に入れてもらった、麦茶のグラスから、
ポトリと水滴が落ちた。

「やってたら、もっと出来てるって。
ここもさ、doがboになってるじゃん。
ブーユーって読むの？」

「あ、ほんとだ何でこうなってんだろ」

「私に聞かれてもさ……」

と、蒼は呆れる。
勉強を教えて貰っているのに、集中出来ない。
これなら逆効果である。
いっそ、すっきりさせようか？

「蒼」

「何」

「蒼ってさ、好きな人いんの」

と、俺が聞くと、蒼は、頬を緩ませる。

「うん」

「へえ。どんな奴？」

俺はその相手が、自分であることを願いながら言う。

「運動出来てー、勉強も出来てーあと優しい」

心の中で俺は落胆した。
運動はできる方だが、勉強は出来ない。
優しいかは分からないが、
そんな特徴に挙げられるほどではないだろう。

「良い奴じゃん」

「あはは。嘘だよ。運動は出来るけど、勉強は出来ない」

もしかしたら俺だろうか。
という期待を抱く。

「言わんといてあげなよ」

「蒼汰はいるの？」

と、にっと目を細める蒼。

「うん。いるよ」

その時蒼の顔は、
落胆したようにも楽しげにも見えた。

......................................................
因みに、
蒼汰はそうた
蒼はあおいです。

＼_(・ω・`)ココ重要！

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