【男主】もう一人の六年生は任務中 玖【忍たま】

眠れぬ夜 五段 ページ40

side 雑渡昆奈門

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諸泉「組頭、ここにおられたんですか」


雑渡「いつもここにいるが？」


諸泉「そろそろお休みになっては…」



















タソガレドキ城

一階の屋根の上で夜風に当たっていると

背後から尊奈門が声をかけてきた。










数日前の一件






それからというもの

私達は淡々と任務に努めた。





失ってい初めて気付くとは

このことだ。






最初こそ、彼を警戒していたが

関わるうちに興味が湧いた。



知る度に感じていた。

彼は弱いのだと…





一見、完璧にさえ見えなくもないが

心の内は穴だらけ。




その穴を空けたのは

彼自身であって

それを埋めようとはしなかっただろう。







彼は何回「大丈夫」と言ったのか






人は言葉で判断してしまいがち。

彼が大丈夫と言えば大丈夫になってしまう。




まあ、彼の性格上

「たすけて」とは言わないだろうけど。















雑渡「あれ以降、黒脛巾組に動きは？」


諸泉「現在、数名の忍者を向かわせているところです。情報はまだ…。」


雑渡「まあ、場所が場所だからね。気長に待つとしよう」


諸泉「……組頭はAくんが本当に亡くなったと思っていますか？」



















突然の問いに言葉が詰まる。





彼の身体を蝕んだ毒が

本当にトリカブトであったなら

亡くなってもおかしくはない。





が、

彼にそれを越える耐性があったとしたら…






実際にこの目で息を確認したわけではない。

だからこそ、嘆くことは出来ない。





彼の存在は黒脛巾組にある。



















雑渡「そろそろ夏も終わりだな。」


諸泉「そうですね」


雑渡「では、私も休ませてもらうよ」



















私は静かに立ち上がり

尊奈門と共に城内へ。






一刻も早く、

彼の存在を確認しなければ。








何故だかは解らない。

私は焦る気持ちを内に秘め、

静かにその時を伺った。






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